2024年 4月 28日 (日)

原油と小麦急騰でどうなる日本経済? 「ロシア抜き」新秩序には「最低1年」...エコノミストの厳しい目

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若者にインパクトが強い小麦関連食品の値上げ

   さて、原油価格の上昇に加え、人々の暮らしに深刻な影響を与えるのが小麦価格の急騰だ。

原油と小麦の高騰でどうなる日本経済?(写真はイメージ)
原油と小麦の高騰でどうなる日本経済?(写真はイメージ)

   「小麦関連製品の値上げは、家計支出で年間約3200円の負担増になる」と試算するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。

   熊野氏のリポート「小麦粉の危機~ウクライナ・ショックが家計を直撃~」では、「この負担増は、小麦だけを計算したものであり、大豆、とうもろこしなどを含めると影響はさらに大きくなる」と警鐘を鳴らす。

   実は、日本の小麦輸入相手国は、米国、カナダ、オーストラリアの3国でほぼ100%を占め、ロシアとウクライナからの輸入はゼロに近い。しかし、ロシアとウクライナは世界の小麦輸出量の4分の1以上を占め、両国からの輸出が止まると、小麦価格は大暴騰する。しかも、日本は世界8位の小麦輸入大国だ。

   熊野氏はこう指摘する。

「すでに、原油高騰が石油製品や電気代・ガス代を大きく押し上げることが予想されているだけに、小麦価格の上昇はそこに追い打ちをかける」「生活者への痛みは、原油高騰などと併せて、大きなインパクトをもたらすだろう。物価上昇率が2%近くになる」

   食料品の中には、輸入小麦価格と連動性の高いものが多い。ウエイトの大きい順にパン、麺類、中華そば(ラーメンなど外食を含む)、ケーキ、ぎょうざ(外食)、カレーライス(外食)などが挙げられる=図表1参照

(図表1)小麦の高騰の影響を受ける小麦関連製品(第一生命経済研究所の作成)
(図表1)小麦の高騰の影響を受ける小麦関連製品(第一生命経済研究所の作成)

   これら「小麦関連製品」は消費者物価の食料品の中では16%も占めている。熊野氏は、3月7日時点での小麦価格上昇率(前年比3.1%増)から推計し、「家計支出の増加額は年間3200円」と計算した。

   ただし、政府が決める輸入小麦の売渡価格は、4月にもっと上昇する可能性が高い。そして、若い世代への打撃が大きい、と熊野氏は語る。

「小麦関連製品の支出は、高齢者よりも若者、特に単身世帯にはより影響が大きい」「コメ食よりもパン食、麺類を好む人には、値上げのインパクトは大きい。しかも、外食は割に早く値上げの効果が表れる。ラーメンやぎょうざ、天丼、スパゲッティなどの馴染みが深い外食は、値上がりの影響が出やすい」「小麦製品は、コメに並ぶ主食であるから、誰もその痛みからは逃げることが難しい」
小麦が上がるとパンの値段も上がる(写真はイメージ)
小麦が上がるとパンの値段も上がる(写真はイメージ)

   熊野氏のリポートでは小麦に焦点を当てたが、そのほかに大豆、とうもろこしなどの穀物価格の値上げにも危機感を募らせた。こう結んでいる。

「大豆は、大豆食品だけではなく、油脂などにも使われる。とうもろこしは、飼料として使われて食肉価格の押し上げに波及していく」「ウクライナ・ショックによって、小麦だけではなく、大豆・とうもろこしの上昇も含めて考えると、家計の負担増はもっと大きい」
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