2024年 4月 28日 (日)

原油と小麦急騰でどうなる日本経済? 「ロシア抜き」新秩序には「最低1年」...エコノミストの厳しい目

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家計への負担増、年間1万1000円~1万9000円の試算

   熊野氏は小麦関連食品だけでは「家計への負担増は年間約3200円」と試算したが、「食料費全体では1万1000円~1万9000円以上の負担増になるかもしれない」と警告するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏だ。

   永濱氏のリポート「今秋に急上昇が予想される政府小麦売渡価格~米食シフトに伴う食料自給率上昇の可能性~」(3月7日付)のなかで、小麦独特の複雑な価格決定システムに注目した。

   日本の小麦輸入は政府によって一元的に行われ、政府が決めた売渡価格で国内メーカーに売り渡される。その価格の決定は毎年4月と10月。その間の買付価格はドル・円レートなどが勘案されて決まるが、食料品価格への波及に1年近くの時差が伴う。

   永濱氏はこう指摘する。

「さらに深刻なのは、ウクライナ情勢の緊迫化で急騰した3月以降の小麦価格が、今年10月の価格決定に反映されるということである」「今年10月の価格決定時には、4月に16%程度引き上げられると見込まれているところから、さらに4割以上の価格上昇となる可能性がある」

   永濱氏は、これまで最も小麦売渡価格が上昇した2007年10月(プラス10%)~2008年4月(プラス30%)~2008年10月(プラス10%)の時と比較して、今回の家計への負担を試算した。そして、

「2007年から2008年にかけての平均世帯の食料費の年間増加額は、2人以上世帯では0.5+0.6=1.1万円、勤労者世帯に至っては1.1+0.8=1.9万円も増えた=図表2参照。今後の展開次第では、足元の穀物高は来年にかけて2007年~2008年時以上に家計の購買力を圧迫することになりそう」

と推測するのだった。

(図表2)2007年~2008年の小麦価格高騰時の平均世帯の食料費増減(第一生命経済研究所の作成)
(図表2)2007年~2008年の小麦価格高騰時の平均世帯の食料費増減(第一生命経済研究所の作成)

   しかし、永濱氏は国民生活にとっての「いい面」も期待する。

「健康のためにも節約のためにも、米を中心とした和食にシフトすることが予想され、消費者の米や米商品に対する関心は高まろう。実際、穀物価格が高騰した2007年~2008年にかけて、食料自給率は一時的に上昇に転じた。今回も価格が上昇する輸入小麦に代えて国産米粉が見直され、米粉などの加工品の需要が拡大すれば、国内農業ひいては地域産業の活性化にもつながる」

   お米に対する消費者の意識が変わり、米作農家も助かり、日本の食料自給率も高まるというのだ。

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