2024年 4月 28日 (日)

原油と小麦急騰でどうなる日本経済? 「ロシア抜き」新秩序には「最低1年」...エコノミストの厳しい目

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ロシアに依存しない世界経済への道筋とは

   それにしても、ウクライナ侵攻をめぐる経済危機はいつまで続くのか。「長期的には1年ほどでロシア抜きの世界経済秩序ができるだろう」とみるのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。

   市川氏のリポート「ロシアに依存しない世界経済を織り込み始めた株式市場」(3月7日付)のなかで、ロシアに依存しない世界経済の形成過程を説明している=図表3参照。ポイントをまとめると、下記のようになる。

(図表3)ロシアに依存しない世界経済への道筋(三井住友DSアセットマネジメントの作成)
(図表3)ロシアに依存しない世界経済への道筋(三井住友DSアセットマネジメントの作成)

(1)短期の時間軸=経済制裁によりロシアからの天然資源の供給が減少、原油価格などが上昇。インフレ要因となり、利上げで対処する場合、その国の需要は抑制される。ロシア向け輸出停止やロシアでの生産停止に踏み切る企業、ロシアからの希少資源の調達が難しくなる企業が出てきて、株安となる。

(2)中期の時間軸=天然資源をロシアに依存してきた欧州諸国が代替先を見つけ、原油価格の上昇が一服。インフレ鈍化につながり、利上げ実施国での利上げ頻度が低下、景気は持ち直しやすくなる。企業もロシア向けの販売減を他国向けの販売増で補う動きが広がる。

(3)長期の時間軸=天然資源価格がロシアの供給減を踏まえた水準で形成され、原油相場も上昇基調が終了。インフレが一段と沈静化し、利上げも終了。景気は世界的に安定し、企業活動もロシアに起因する問題はおおむね解消。世界経済はロシアを除く新常態への移行が完了する。

   メデタシ、メデタシというわけだが、市川氏はこんな「条件」をつけるのだ。

「これらの時間軸は、(リポート発表時点での)ロシアに対する経済制裁が維持された場合を想定しており、長期は早ければ1年程度と考えることができます」「経済制裁強化なら、時間軸が長期化し、反転時期も遅れます。市場は制裁強化のシナリオも意識しつつあるようで、まずはウクライナとロシア双方が協議を継続し、少しでも停戦に近づくことが待たれます」

   欧米と日本が「ロシア産原油の輸入禁止」というさらに厳しい経済制裁に踏み切った場合はどうなるのか。「早ければ1年程度」というロシア抜きの世界経済安定もさらに遠のきそうだが......。

(福田和郎)

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