2024年 4月 17日 (水)

「100円ショップ」は生き残れるか! 円安で東南アジア仕入れ先「黄色信号」、無印・ドラッグストアとの激しい競争(2)

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   近頃、「100均マニア」と呼ばれる人が増えている。何を買うにもまず「100円ショップをのぞいてから」という人のことだ。

   そんな「100均マニア」に嬉しいリポートが届いた。帝国データバンクが2022年4月2日に発表した「『100円ショップ』業界動向調査」という報告書だ。見出しには、「好調『100均』市場規模1兆円へ 大手4社の店舗はコロナ前から800店増加」とあり、順調に業績を伸ばしているようだ。

   ところがどっこい、円安と原油高のダブルパンチを受け、瀬戸際に追い込まれているという。「100均マニア」としては気が気でないだろう。調査をまとめた担当者に話を聞いた。

  • 100円ショップで買い物をする女性(写真はイメージ)
    100円ショップで買い物をする女性(写真はイメージ)
  • 100円ショップで買い物をする女性(写真はイメージ)

100円商品だけでは「いくら売っても儲けにならない」

   <「100円ショップ」は生き残れるか! 円安で東南アジア仕入れ先「黄色信号」、無印・ドラッグストアとの激しい競争(1)>の続きです。

――300円、500円を中心に独自デザインを開発したミドル・ハイプライスブランドを取りそろえた店舗出店が進んでいますね。業界最大手のダイソーが昨年3月、300円ショップの専門店を東京・渋谷にオープン、今年4月には東京・銀座と大阪・梅田に店を出すと報じられています。

飯島大介さん「そうせざるを得ない流れがあるのです。100円で売っている品々の多くは、たとえばプラスチック製品や木工品などは、正直、いくら売っても儲けになりません。原材料の石油や木材の価格が上がっていますが、価格を上げたくてもあげられず、ほとんど利益が出ていない。それでもショップにたくさん並べてあるのは、集客効果を狙ってのことです。
追い詰められているのです。勝負は300円、500円クラスの商品にあり、そこから利益を補わないといけない。しかし、300円、500円の価格帯になると、無印良品やドラッグストアなどとの競争になり、相当なチャレンジになります」
コロナ禍のマスク需要も100円ショップを後押しした(写真はイメージ)
コロナ禍のマスク需要も100円ショップを後押しした(写真はイメージ)

――100円ショップには、円安や原油高などの影響は、ほかにどういうかたちで出ていますか。

飯島さん「100円ショップの仕入れ先は、中国や東南アジアが大半です。これまでは日本の立場からみると、東南アジアは『下請け』という認識でしたが、立場が変わりました。
円が安くなったため、東南アジアの仕入れ先だった企業は、もっと高い値段で買ってくれる欧米諸国や、ほかの豊かなアジアの国々、たとえば人口が多くて経済も発展しているインドネシアやマレーシアなどに売り始めています。
取引がドルベースですから、円安は痛いです。これまでよりもっとお金を出さないと売ってくれない。日本は東南アジアの企業から見放されつつあるといえそうです」

――また、イオンが昨年11月、100円ショップ第3位のキャンドゥを買収して傘下に入れました。これで100円ショップ業界の再編が進むのでしょうか。

飯島さん「4社の寡占がガチガチに固まっていますから、再編はないと思います。ただ、キャンドゥにとってはイオンの国際的なサプライチェーンに入ることで、海外からの仕入れがしやすくなります。また、商品開発のノウハウをイオンから学べるメリットがあります。イオンも安い商品をキャンドゥから得られるし、キャンドゥの店舗が増えれば、集客効果につなげられます」

――100円ショップの将来は厳しい、ということですか。

飯島さん「いや、2つの側面を区別してみることが大事です。たしかに、仕入れの面では円安と原油高が厳しく、経費が増えている。しかし、販売の面ではお客の数と売上が伸びており、好調が続いている。問題は、売上からどうやって利益を生み出すか、です。 100円ショップは『100円』という大看板を降ろすと、お客が離れてしまいます。だから、たとえば100円だったハサミの機能をアップして、200円にするとか、細かく区分けしたりする努力と工夫を重ねています。今は正念場の時期だといえます」
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