2024年 5月 6日 (月)

「ノー・ジャパン」どこ吹く風、インバウンド再開で韓国人観光客ラッシュなるか?!

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   元徴用工や従軍慰安婦問題などで「史上最悪」の関係といわれてきた日本と韓国だが、2022年6月10日から再開する「インバウンド」(訪日外国人客受け入れ)では、韓国人観光客のラッシュになりそうだ。

   2019年以来の「日本製品不買運動」(ノー・ジャパン)と、コロナ禍によって韓国国民の日本旅行はすっかり冷え込んでいた。しかし、もともと韓国の人たちは「日本旅行」が大好き。これが日韓関係の友好復活につながれば、と大いに沸く韓国紙を中心に読み解くと――。(編集部注:引用する韓国紙は日本語版)

  • 日本と韓国の友好復活なるか(両国国旗のイメージ)
    日本と韓国の友好復活なるか(両国国旗のイメージ)
  • 日本と韓国の友好復活なるか(両国国旗のイメージ)

「大阪・神戸2泊3日ツアー」2時間で完売

   日本のインバウンド再開を待ち望んでいたのか、韓国紙の見出しが踊っている。朝鮮日報(6月9日付月)の見出しは「日本が団体観光客の入国を許可するや...韓国で旅行予約887%増」というものだ。

   それによると、韓国大手旅行会社「ハナツアー」の5月30日から6月5日までの日本行きパッケージツアー予約数は直前の1週間に比べ284%増えた。その前週との比較では887%の急増だという。全海外旅行ツアー予約における日本行きツアーの割合も2.1%から24.3%へと増えた。

   別の旅行会社「黄色い風船」でも、5月の日本旅行の予約が前月比で約7倍に増加した。全ツアーの予約件数が約2.5倍増えたのと比べると、日本旅行が突出しているらしい。旅行会社「実にいい旅行」が売り出した「大阪・神戸2泊3日パッケージツアー」は約5万2000円~5万5000円の特別価格だが、1365席が2時間で完売するありさまだった。

   2019年7月に始まった日本政府による半導体部品などの輸出規制をきっかけに日本製品不買運動(ノー・ジャパン)が広がった。韓国人の日本旅行も年間700万人以上が訪れ、日本は韓国国民にとって「一番行きたい国」だったが、その後、コロナ禍もあり、日本への観光旅行は途絶えたままだった。今回の韓国国民の訪日ラッシュの背景には「円安であること」「コロナが落ち着いたこと」「反日感情が薄れたこと」などの要因が考えられているが、もともとは日本旅行が好きだったことが挙げられるようだ。

   朝鮮日報によると、韓国の旅行会社関係者の話として、「ほかの所とは違い、日本は旅行さえ可能になればすぐにでも出国したいという人が多い」とある。

「ノー・ジャパン」運動でも、「日本旅行熱」は冷めず

日本の旅行を楽しむ(写真はイメージ)
日本の旅行を楽しむ(写真はイメージ)

   韓国における「日本旅行熱」はずっと冷めないで続いていたようだ。2020年8月に中央日報は「日本、新型コロナ以降韓国人が行きたい国1位復帰」(8月21日付)という見出しで、依然として「日本人気が高い」と報じている。

   日本交通公社と日本政策投資銀行が海外旅行の経験がある12か国の人々に、それぞれ「新型コロナ終息後に旅行したい国」を聞いたところ、韓国の人にとって日本はハワイと並んで1位に返り咲いたという。

   一方で、J-CASTニュース会社ウォッチでも、これまで何度か「日本人気」と「ボイコット・ジャパン」との間で揺れる韓国の人々の姿を取りあげた。2019年9月26日付「【日韓経済戦争】韓国紙も驚く『長~い日本製品不買運動』意外な被害者とは...」では、韓国からの観光客が途絶えた対馬(長崎県)の被害をこう記した。

《韓国紙にとっても(ボイコット・ジャパン運動は)大きな疑問のようで、中央日報(2019年9月19日付)「コラム:長期化する日本製品不買運動の影」は、次のように分析している。たとえば、対馬のケースがそうだ。
「対馬訪問客の95%に達した韓国人の足が途切れ、対馬は閑散としている。しかし、その被害は対馬住民だけのものではない。最近、対馬に新たにできた宿泊施設・食堂・免税店・釣具店の大部分は韓国人が投資した施設だが、これらの被害がこの上なく大きい。実際、対馬に事業や就職のために進出した韓国人は200人余りに達する。彼らの仕事がなくなっている」》

   2019年12月25日付会社ウォッチ「【日韓経済戦争】観光客が戻ってくる!? 韓国最大の日本旅行サイトが「不買運動終結」を宣言 その理由は?」では、韓国内最大の日本旅行コミュニティーのジレンマと決断を取りあげた。

   会員数133万人(当時)を誇る韓国の人なら日本旅行の際に必ず活用するといわれるそのサイトには、「旅行記」「宿泊記」「グルメ記」の3カテゴリーがあり、宿泊施設、周辺のスポット、レストランの味など様々な情報が投稿される。何よりも「あの宿はボッタクリ」「サービスが悪い」「穴場的に美味しい」などホンネのクチコミが添えられているのが特徴だ。また、気になる情報は質問もできる点が重宝されている。

   しかし、ボイコット・ジャパン運動の過熱によって2019年7月、サイトの運営責任者が「日本旅行不買運動を支持する」と表明、サイトを閉鎖した。ところが同年12月には、サイトを再開したのだ。

《朝鮮日報(2019年12月24日付)によると、今回、再びサイトを開いたことについて運営者はこう語っている。
「今後、ネイバー日本旅行同好会は、旅行カフェとして本来の形に戻ります。(中略)日本旅行のテーマでなくとも、以前と同様に日常生活など他愛のない話をシェアする時間を過ごせればと思います」
さらに充実したサイトを目指すというのだ。もうボイコット・ジャパンはやめて、楽しい旅行をしようと呼びかけたのだった。》

日本の韓国旅行熱、高くなるだろうとの見方も

日本旅行のメッカ・浅草
日本旅行のメッカ・浅草

   今回の「日本旅行」再開について、韓国紙は大々的に取り上げている。朝鮮日報(6月5日付)「韓国人の日本旅行、もし現地でコロナに感染したらどうすればよいか」は、手取り足取り、日本のコロナ対策を克明に紹介、規則は「順守すべきである」と呼びかけている。

   ほかに、中央日報(6月7日付)「韓日、観光再開に向け準備に奔走」は(1)(2)の2回に分けて特集、日本と韓国がともに「リベンジ観光」熱気に湧いているが、日本の韓国旅行熱のほうが高くなるだろう、という見方を示している。

   同紙は、韓国観光公社東京支社のチョン・ジンス支社長のコメントとして、「現在は、積極的に韓国旅行を望む(日本の)若い女性を中心に観光ビザ申請の熱気が高いが、ノービザ訪問が可能になれば全世代に韓国旅行ブームが広がるだろう」「コロナ以前は訪日韓国人が訪韓日本人よりもはるかに多かったが、これからは両国訪問者数が同じくらいか、あるいは逆転する可能性が高い」と紹介している。

富士山も人気
富士山も人気

   これに対して、中央日報(6月3日付)「『韓国人の彼氏が軍隊に行く前に...』日本人数百人『徹夜待ち』で長蛇の列」では、日本人女性たちのこんな声を紹介している。

「在日韓国大使館には日本人が夜を徹してビザを申請しようとする行列が見られた。(中略)韓国行きのビザ発給を受けようとする理由も各自さまざまだった。ある女性は『韓国に彼氏がいて、8月に軍隊に入る』とし『その前に会いたい』と話した。(中略)『K-POPアイドルになりたい。そのために韓国に留学に行く』など多様な理由が続いた」

   いずれにしろ、インバウンド再開で、日本と韓国が再び友好な隣国関係に戻ることを願うばかりだ。

(福田和郎)

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