2024年 4月 24日 (水)

社内に眠れる「宝の山」顧客情報、ベストな使い方は? メールニュース送付で「問い合わせ」増えた具体事例とは〈その4〉(大関暁夫)

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   連載を続けてきた「社内に眠れる『宝の山』顧客情報」シリーズ〈その1〉、〈その2〉、〈その3〉を通じて、前回までは、営業ターゲット先を取引実績に応じてグループ分けして管理するABC管理の分類の話をしてきました。

   自社の利益(業種によっては売上高)の80%を占めるまでの取引先群を「A先」、同じく80~95%を占める先を「B先」、それ以外で先方担当者の名前とメールアドレスが判明している先を「C先」として管理する方法です。

   A先、B先は、いわゆるリアルで動く営業担当チームであるフィールドセールス・グループが担当します。C先はオフィスあるいはテレワークで、主にメールや電話で営業活動をするインサイドセールス・グループが担当します。

   今回はインサイドセールス・グループの具体的な活動を解説します。

  • メールや電話で営業活動をするインサイドセールスの活動の進め方とは
    メールや電話で営業活動をするインサイドセールスの活動の進め方とは
  • メールや電話で営業活動をするインサイドセールスの活動の進め方とは

効果的なメール営業のやり方とは?

   インサイドセールス・グループは、基本的に、メールでの営業活動がメインとなります。主な担当先は、営業ターゲット先の担当者名とメールアドレスは分かっているものの、取引がない、あるいは過去に取引があったが今はない、あるいは今も取引があるがA、B管理先に分類されるほどの実績がない先です。ですから、相手は自社のことをあまり詳しくは知らないとの前提に立って、接点を拡大する役割を担います。

   具体的には、月1回程度NEWS形態の情報メールを送付するのが基本活動となります。ただ、漫然と毎回メールを送付して、返信を待つだけでは接点の拡大はあまり期待できないので、もろもろ最新のシステム的なテクニックを使って、メールの開封有無の確認やメール内に記載した自社のホームページへのアクセスの有無や回数および滞在時間などをチェックして、関心度の高さの分類をします。

   もちろん、社内にこれらの作業に精通したスタッフがいるならば自社で完結できますが、いない場合はエキスパートを直接雇うよりも外部の専門業者にお手伝いをいただくのがコスト的にもベターでしょう(※注)。

   メールニュースについては前回もふれましたが、基本はあまりセールス色のない内容でありながら、多少でもお役に立つような自社業界情報や豆知識的な話題がよいでしょう。どこの企業でもできるのは、自社の製品やサービスを使った好活用例とか、お客様の「お褒めの声」の紹介などです。

   いずれにせよ、ストレートな商品紹介やセールスは極力控えめにすることがポイントです。さりげなく文末に、ホームページ(HP)や製品ページへのリンクを記載するのがベターでしょう。ただし、製品の好活用例などを紹介した場合には、紹介記事の中で製品ページへのリンクを記載することでかまいません。

   メールニュース送付最大の目的は、自社や自社製品に関心をもってもらい、まずは自社HPへ誘導することです。メール開封だけでは関心の有無までは測れません。しかし、クリックをして自社ページまで来てくれたならば、掲載記事に関して、あるいは自社に関して、あるいは自社製品に関して、少なからず関心をもっているとの判断がつくからです。

どうしたら読者は関心を持つか?

   具体的なHP誘導例をひとつ上げておきます。モータ開発・製造A社の場合、小型・軽量でありながら、強い出力を持つことが自社製品のセールスポイントでした。主に、展示会で名刺交換をした企業の担当者宛に、定期的な製品案内メールを送付していましたが、一向に自社ページへのアクセスが増えません。そこで担当者は、自社製品を採用してメリットがあった事例をメールニュースとして送付することにしました。

   取り上げたのは、試作段階での事例でした。電動車イスのモータにA社製品を採用したケースで、電動車イスの大きな課題点であった総重量について駆動パワーを落とすことなく軽くすることに成功した、との話を掲載しました。

   すると、多くの読者の関心をもってくれたようで、過去にないほどメール記載のリンクからHPへのアクセスが増え、同時にHPからのカタログのダウンロードや電話やメールでの問合せも急増したのです。具体的な例をあげることで、もしかすると、他の製品(たとえば「AGV=無人搬送車」や電動自転車など(でも効果が期待できるかもしれないという、単なるモータ製品紹介メールでは思い浮かばなかった製品活用イメージがわいて、問い合わせ行動を促したといえます。

   このような事例は、社内にたくさん潜んでいます。とくに、日々リアルで顧客と接しているフィールドセールスの担当者は、情報の宝庫です。A社のケースもそうですが、必ずしも成約にまで至っていない事例でも、活用法や効果を知らしめる話題は山ほどあるのです。

   そういった事例を担当者個人の頭の中だけに埋もれさせないことが大切です。そのためには、フィールドセールス・グループとの情報ミーティングを定例で実施する必要があります。お客様の声を中心として、どのような引き合いがあったか、どのような業界がどのような理由で自社に関心を示しているのか等々を、情報として共有するのです。

   これは、「営業成果の法則」(営業成果=営業知識量×営業活動量)における、営業知識の中の経験知識(他人経験)にあたります。リアルの営業担当者が同僚の経験知識を活用するだけでなく、インサイドセールス・グループも営業担当である以上、営業成果の法則は当然あてはまります。他人経験の経験知識を駆使して、顧客候補宛のメールニュースで、いかに関心を呼ぶ情報を掲載するかに腐心することが、HP誘導という成果につながるのです。

   「営業成果の法則」については、「営業成果の法則と必須な営業知識を知る! 「基本」はオンラインでも変わらない(大関暁夫)」もぜひご覧ください。

(大関暁夫)

(※注)具体的なご相談は、本コラム共同執筆者藤崎健一さんが経営されるディーキューブ株式会社にご相談ください。

★ディーキューブ株式会社
ディーキューブ株式会社|デジタルを活用した法人営業のしくみ化のエキスパート (dcube.jp)

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大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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