「エンディングノート始めました」...こんなCMがテレビに流れているが、実は、あなたのパソコン、スマートフォンにも「終活」が必要なのだ。
考えたくはないが、あなたの死後、パソコンやスマホの「デジタル遺品」をしっかり整理しないと、思わぬ個人情報がインターネット上に拡散してしまうかもしれないからだ。そんななか、デジタル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年7月22日、「デジタル遺品に関する調査」を発表した。
デジタルの「終活」に関心が深く、すでに実行している割合は20代が一番多く、40代~70代の実施経験者は1.4%以下というお寒い実態が明らかになった。
あなたの死後、個人情報がネットに拡散してもいいのか
「デジタル遺品」とは 持ち主が亡くなり、遺品となったパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されているデータやインターネット上の登録情報などのこと。SNSのアカウント、保存した写真や動画、知人の連絡先、ネットショッピングやネットバンクの利用履歴、クレジットカード情報、IDやパスワードなど種類は多岐にわたる。
また、「デジタルタトゥー」という言葉がある。digital(デジタル)に、完全に消すことが難しい入れ墨(tattoo)を組み合わせた造語だ。インターネット上に書き込まれたコメントや画像など、一度拡散された情報が半永久的にインターネット上に残されることを意味する。
さらに、「ゾンビアカウント」という言葉もある。一度だけショッピングサイトを利用するために作成したアカウントのように、作ったもののほとんど利用しないうちに、登録していたことさえ忘れてしまったアカウントだ。ハッキングなどの乗っ取りに気付かず、情報漏洩や不正操作の被害が広がることがある。放置せずに積極的に削除しておくことが賢明かもしれない。
このように、自分が亡くなった後の「デジタル遺品」をどう整理するか、生前に準備しておかないと、不安にかられる人も多いはずだ。故人のパソコンやスマホを引き継ぐ遺族に迷惑がかかる場合があるからだ。隠れた「負債」を知らずに相続することがあるし、また、「デジタル遺品」の中には誰にも知られたくない画像や情報が入っているケースも少なくないだろう。
というわけで、最近は生前から、自分で「デジタル遺品整理」を少しずつ行っている人が増えている。また、一定期間パソコンを起動しないと、データが自動削除されるなど、デジタル遺品を整理するサービスも色々と生まれている。