キャリア思春期「社会人10年目の壁」は、こうして乗り越えろ!

仕事に慣れた、飽きてきたのは「退化のサイン」

   「仕事に慣れた、飽きてきた」というのも、ありがちな現象だ。

   社会人になり数年から10年前後となると、仕事が習慣化され、充実感を覚えることもある。河野さんはこれを「コンフォートゾーンにいる状態」と説明し、「退化のサイン」と戒める。

   学びや工夫、成長の幅が狭まり、そのままでは退化してしまうからだ。そうならないように、一歩踏み出してみることを強く勧めている。

   「今やっている仕事の範囲で、役割だけ変わる」のが理想だが、社外との交流を増やしたり、結婚や引っ越しなどライフイベントを加えたりするのも一つの手だという。

   コンフォートゾーンが訪れるタイミングは、10年と言わず3年が目安だといい、「3年間同じ仕事をしたら、4年目は一歩踏み出すタイミング」だと勧めている。

◆「焦るな、くさるな、地に足つけろ」

   社会人10年目ともなると、同期がMBAを取った、花形部門に行ったなど同世代の活躍が目に入ってくるだろう。今はSNS経由で情報がたくさん入ってくる。しかし、「焦るな、くさるな、地に足つけろ」と戒める。

   四半世紀以上社会人を経験してわかることだが、キャリアの駆け出しでトップランナーだった人が、トップランナーであり続けるケースは意外に少ない。雑音にとらわれず、今の自分の仕事に没頭することが、セルフコントロールする上で最適解だという。

   「自分より優秀な後輩に嫉妬心を持ってしまう」という悩みに対して、「先輩でも後輩でも優秀な人は優秀。気負わなくていいんです。むしろお手本にしましょう」とアドバイスする。

   その前提として、「先輩は後輩より優秀でなくてはいけない、という発想はやめにしましょう」と書いている。

   学生時代、競泳をしていた体験から、自分より優秀な後輩はたくさん見てきたそうだ。彼らは嫉妬の対象ではなく観察の対象で、多くのことを学んできた、と振り返っている。

   河野さんの場合、社会人になっても、観察力を生かしてきた。最初の著書「99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ」もそうした観察から生まれた本だという。

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