米国債・米国株の流れを大きく動かす、米消費者物価指数
こうして米国の景気後退が顕在化しつつあるなか、今後注目されるのは米国債の動きだとするのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
石黒氏はリポート「米インフレ鈍化を示唆する米経済指標相次ぐ」(1月10日付)のなかで、「昨年末に米国は厳しい寒波に見舞われたことから、その影響が予想以上の景況感悪化につながった側面もあります」としながらも、
「米賃金の伸びや米労働需給のひっ迫がピークアウトしつつあるなど、FRBによる大幅利上げの累積効果が時間差を伴い、米経済にブレーキをかけ始めていることも事実です」
と指摘した。その結果、
「米インフレ圧力が徐々に和らぐ中、米金融政策に対する市場の警戒は薄らぎつつあるといえます。実際、1月6日の米国市場は、株高・債券高となりました。特に債券市場の動きが顕著で、米金融政策の影響を受けやすい米2年国債利回りが前営業 比0.21%低下するなど、昨年終盤以降、米国債への見直し買いが強まっています【図表2】」
と説明する。そして、こう結んでいる。
「1月12日に発表される昨年12月の米CPI(消費者物価指数)ではさらなるインフレ鈍化が確認されるとみられ、米国債や米国株を再評価する流れが継続しそうです」
(福田和郎)