米インフレは鈍化?それとも、ウォール街のから騒ぎ?...次の消費者物価指数に注目! エコノミストが指摘「米経済が悪化していることを忘れるな!」
2023.01.11 19:45
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インフレ退治の代償がいかに大きいかを物語る数字
こうした事態をエコノミストはどう見ているのか。
「FRBは今年3月までにFF金利の誘導目標値を5.0%に引き上げ、その後、利上げを停止するだろう」と予測するのは、第一生命経済研究所の主任エコノミストの藤代宏一氏だ。
藤代氏はリポート「インフレは『弱火』 Fedは利上げ停止に」(1月10日付)のなかで、こう指摘する。
「12月米雇用統計と12月ISM非製造業景況指数は共にFed(米連邦準備制度)の利上げ幅縮小を正当化する結果であった。筆者(=藤代氏)は2月FOMC(米連邦公開市場委員会)における利上げ幅が0.25%に縮小、その後3月の0.25%追加利上げを以って利上げが停止すると予想する(従来予想は2月に0.50%の利上げ、ターミナルレートは5.25%)」
その理由として、労働参加率上昇に伴う失業率低下によって平均時給の上昇が大幅に減速するなど、「理想的な形」で、FRBの悩み事だった賃金インフレが収まりつつあることが示され、「インフレとの闘いに前進がみられた」ことを挙げた。
しかし、一方で非常に危惧すべき事態に陥っていることに対しても、こう警告している。
「ISM非製造業景況指数【図表1】は、インフレ退治の代償がいかに大きいかを物語り、景気後退の恐怖を印象付けた。ISM非製造業は49.6とパンデミック発生直後の混乱期を除くと、(リーマンショック後の)2009年以来の50割れを記録。(中略)ここへ来て個人消費が急減速していることを示唆する結果であった。株式市場目線では、Fedのハト派傾斜に対する期待が高まる反面、業績の下振れリスクが著しく増大していることを認識しておく必要があるだろう」