衝撃!「人口の80%...11億人コロナ感染」中国経済は大丈夫か? エコノミストが指摘...「回復すると逆に世界の危機」「コロナ収まっても回復に難問あり」
感染爆発が収まっても「リベンジ消費」が難しい理由
果たして中国は、この感染大爆発の状況から回復できるのか。
呉尊友氏の「新型コロナは2、3か月で収束に向かう」という見通しが正しいとしても、難題が待ち受けていると指摘するのは、伊藤忠総研チーフエコノミスの武田淳氏と客員研究員の玉井芳野氏だ。
2人はリポート「中国経済:感染ピーク越えも景気回復に力強さを欠く見通し」(1月24日付)のなかで、「仮に2023年4月には感染拡大が収束するとしても、2023年の中国経済を押し上げることが期待される個人消費や不動産市場の回復は力強さに欠ける」と指摘する。
特に個人消費については、中国人民銀行が行なった「貯蓄・投資・消費に関するアンケート調査」のグラフを示した【図表1】。これを見ると、消費や投資マインドが下降線をたどり、貯蓄志向が高まっていることがわかる。
「個人消費については、感染拡大が落ち着くとみられる4~6月期から回復に向かうと見込まれるものの、雇用・所得環境の悪化やマインドの弱さから回復ペースは緩慢なものにとどまろう。消費回復の原動力となるのは、ロックダウンなど厳格な移動制限により抑制された分のリベンジ消費である。
すなわち、コロナ禍で抑制された消費が『過剰貯蓄』を作り出したが、今後はその貯蓄の取り崩しによる消費押し上げが期待できる」
その過剰貯蓄は約1.9兆元(GDP比1.6%)にも上るが、過剰貯蓄分のほとんどが消費に回り、景気を大きく押し上げるとの見方は楽観的だ。
なぜなら、「感染再拡大などの不確実性が残存するなか、また長引くゼロコロナ政策で悪化した雇用・所得環境の改善には時間がかかるなか、当面は貯蓄の取り崩しに慎重な家計が多いとみられる」からだ。
【図表2】は中国人民銀行が行なった「将来の雇用や収入に関する期待度の家計アンケート調査」だ。「50」以上が改善、「50」以下が悪化を表わすものだが、これを見ても、昨年(2022年)から将来の雇用や所得に対する期待度が大きく悪化していることがわかる。しばらくは所得を貯蓄に回すことになり、「リベンジ消費」に期待するのは難しい状況というわけだ。