「時には自分と違う意見にも耳を傾けて」
今回の調査結果に、実験心理学を専門とする、一川誠(いちかわ・まこと)千葉大学大学院 人文科学研究院教授は「AIを使えば時間効率は非常に高くなる。自分がやりたいことに時間を使えるようになれば、幸福度も満足度も高くなる」としたうえで、次のように指摘する。
「調査結果にも出ている通り、AIを使う若い年代、特に10代はその傾向が顕著です。一方、40代以降は幸福度も満足感もやや低くなっています。ここには、今まで築き上げてきたものがあるかないかで違いが出るのだと思います。上の年代からすれば、これまでの自分の実績がAIに取って代わられるかもしれない、ひょっとしたら今の仕事はAIがするようになるかもしれないと不安に感じ、科学技術の進歩を必ずしもポジティブなこととして捉えられない。一方、築き上げたものがまだない若い年代は、AI があれば効率的に仕事ができ自分の時間を有意義に使えると、ポジティブに受け止めるのだと思います」
また、10代のおよそ半数(49.0%)が人生相談などでAIソロトークを実践していた結果に、一川教授は次のようなアドバイスを述べている。
「今の若い人たちは、自分の愚痴に付き合わせるのは相手の時間を奪ってしまうと感じることから、手軽なAIとソロトークしやすいのかもしれません。ですが、誰かに話を聞いてほしいとき、AIだけでなく身近な人とも会話をして、時には自分と違う意見にも耳を傾けてみてはいかがでしょうか。AIの言うことをうのみにしない、これからのAI社会ではそんなリスク管理を身に付けることも大事になってくると思います」