患者側の壁に「主治医以外からは情報が入ってこない」
メルクバイオファーマは、日本におけるSDMの「現在地」を調べ、さらにどのような課題があるのかを明らかにするため、「SDMに関する意識と実態調査」を実施した。
調査対象は、過去1年間にがん治療を受けた患者1000人、過去1年間にがん治療を受けたことがある患者の家族1000人、そしてがん治療に関わる医師200人である。
グロサス氏がまず紹介したデータは、「患者がSDMをどれだけ知っているか」。結果は79%が「SDMを知らない」。しかし知らなかった人の95.5%は、「医師と話し合った上で一緒に治療方法を決定したい」と回答している。では、何が壁になっているのか。
「主治医と話し合う際に、約4人に1人が、『知識や情報がなく何を話してよいのかわからなかった』ために、治療に関する意思決定に関わらなかった、と答えています。そう答える患者さんたちのがん治療の情報源を聞くと、33%は、『主治医以外で信頼できる情報源がない』というのです。つまり主治医以外からは情報が入ってこない。そこに大きな課題があることはあきらかです」(グロサス氏)