「選択した治療の満足度が高いほど、SDM実施スコアが高い」
一方のがん治療にあたる医師の意識を聞くと、96%が「治療方法に関して、患者さんと一緒に意思決定することを心掛けている」と回答している。現状では患者と医師の間に意識や知識のギャップがあるだけで、将来的にSDMが実現する可能性が高いことを示している。
では、SDMを実施することで、治療満足度にどれだけつながるのか。SDMの実施状況を100ポイント満点でスコア化した「SDM実施スコア」を示しながら、グロサス氏はこう語る。
「選択した治療方法の満足度が高い人ほど、SDM実施スコアが高いことがわかりました。つまり、SDMの実施状況が患者さんの満足度と相関することがわかったのです。また、医師とのコミュニケーション満足度が高い患者さんほどSDM実施スコアが高いことがわかりました」
さらに、がん患者の94%が「SDMを実践することは重要だと思う」と答え、医師も92%が「SDMの実践により、より最適な治療法を提案できる」と回答している。グロサス氏はこう語る。
「患者さん、医師の両者にSDMを実践することへの強いコンセンサスがあることを示しています。理想的なヘルスケアを達成するために、SDMは患者さんにとっても、そして医療従事者にとっても重要なものだということがわかりました」
従来の「患者"中心"主義」から「患者"主導"」の医療へ――SDMという新しい医療が広がっていくことが望まれる。