米製薬会社ファイザーが2025年11月10日、血液がんの一種である「多発性骨髄腫」の患者を支える家族や友人500人を対象にした意識調査の結果を発表した。約6割が患者の気持ちを「理解できている」とは感じられず、手探りでケアを続けている実態などが明らかになった。
同日行われた特別企画では、血液疾患専門のクリニックの院長と、多発性骨髄腫のボランティア団体の代表が、それぞれ講演・発表を行った。さらに、アイマスクで視界を閉ざして対話するワークショップ「ブラインド・トーク」も実施し、当事者同士が語り合った。
ケアラーの半数以上、病気への理解が不十分なままケア開始
ファイザーの意識調査は、25年4月21日~25年5月6日にオンラインで実施。多発性骨髄腫の患者と交流がある「ケアラー」500人を対象にした。
ケアラーとは、心や体に不調がある人の介護・看病・世話・気づかいなどを無償で行う家族や親戚、友人などを指す。そのため上記の調査では、職業としてケアを提供する介護福祉士や看護師などは、対象から除外している。
11月10日の調査結果では、多発性骨髄腫の患者と「家族・親族」の関係にある人の割合は67.8%(339人)。友人や恋人などの「親しい知人」にあたるのは16.0%(80人)、近所の人など「知人」は16.2%(81人)だった。
また、ケアラーの半数以上(53.4%)が、患者の病名を聞いて「多発性骨髄腫って何?どんな病気?」と思ったと回答した。この結果について、ファイザーは「疾患への理解が不十分なままケアが始まる実情」が分かったとしている。
さらに、ケアラーの63.0%(313人)が、患者の気持ちや望みを「(全く/あまり)理解できていない」または「どちらとも言えない」と回答。
そして、約半数(49.8%)が、患者のサポートで何らかの負担を感じている実情があったという。その最大の理由は「自分の精神的な負担が大きかった」(34.2%)とし、ファイザーは「ケアラー側のメンタル面に対するサポートの必要性」があると指摘している。