ファイザー、「多発性骨髄腫」ケアラーの意識調査結果を発表 目隠しした当事者同士が本音で話す企画も実施

「ブラインド・トーク」で浮かび上がった「時間軸の違い」

   太田氏と上甲氏が登壇した後、多発性骨髄腫の患者と、ケアラー、医療ソーシャルワーカーがアイマスクで目隠しをして対話する「ブラインド・トーク」を実施。このワークショップの目的は、意識調査の結果を深掘りするために、先述した三者が普段は思っていても言えていないことなどを話すというものだ。

   記者も一部のグループのワークショップを視察。その対話で浮かび上がったのは、ケアラーと患者の「時間軸の違い」だった。

   ケアラーとして妻を支える男性は、妻が最先端の治療を受けていても、「思わぬ展開になった場合の心の準備をしなければならない」と長期的な視点で考えていたという。だが妻の反応は、「いま順調だから手を出さないで」というものだった。

   男性は「自分自身と妻の時間軸が違っていた」と話した。妻は、思わぬ展開になったときに考えればいいと考えていたという。

「妻は10年、20年というよりも、足元の5年を密度の濃いものにしたいと考えているのかなと思いました。病気の有無に関係なく、人の人生は終わるわけですから、体が元気なうちに楽しまなくちゃ損だと実感しました」

   ワークショップ終了後、このグループのファシリテーターは、先述のエピソードを引き合いに出しながら、「すれ違いが起きているかもしれないとき、きちんと話すことで、すれ違いを認識し、関係を最適化することが大切だと、今日改めて気づきました」と振り返った。

   ファイザーのマーケティング部の血液がんチーム・須磨晋作氏によれば、同社が今回、「ブラインド・トーク」を行ったのは初めてだという。「患者のほか、ケアラーへの理解を全体で深めていくきっかけになればと思い、開催した」と経緯を説明し、今後については、「次に何ができるのかを考えて取り組んでいきたい」としている。

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