「多発性骨髄腫」とは何か?
そもそも「多発性骨髄腫」とは何か。
血液疾患専門クリニックの「リガーレ血液内科太田クリニック・心斎橋」の太田健介院長は10日、病原菌を倒すための抗体を作る形質細胞ががん化する病気だと説明する。骨の痛みや腎障害、貧血などの症状が出てくるという。
太田氏によれば、多くの新薬が登場したことで生存期間は大幅に伸びたものの、完治させることは難しく、生涯にわたって通院や治療が必要になる。
「国民の2人に1人ががんになる時代において、がん患者とケアラーの良い関係をサポートするための取り組みは、今後ますます重要になると思います」
また、多発性骨髄腫の情報発信などを行うボランティア団体「日本骨髄腫患者の会」の上甲恭子代表も、自身の経験を踏まえながら、「患者やケアラーへの理解が社会の中でもっと醸成されていくといいなと思います」と訴えた。
上甲氏の父親は1999年に「多発性骨髄腫」と診断され、上甲氏は会社を退職して支えたという。先述の「日本骨髄腫患者の会」に入会したのは翌2000年。05年に父親が亡くなったが、その後も同会の活動を継続している。
上甲氏は、活動を続ける理由について、「海外では使えるのに日本では使えないというドラッグ・ラグを解消したい。また、私のような患者の家族が、多くの情報があり、多くの同じ立場の人と話ができる場所をちゃんと作りたいと思っています」と述べた。ドラック・ラグとは、海外で使用されている薬が国内で承認されて使われるまでの時間差を指す。