今、リーダーに必要なのは「答えを出す力」ではなく「答えが生まれる場をつくる力」

リーダー自身をどうマネジメントするか

   さらに見逃せないのが、「セルフマネジメント」の重要性です。リーダーは組織の中で最も負荷がかかるポジションの一つです。上からのプレッシャーと下からの期待の間で、常に板挟みになります。その中で、自分自身の状態を整えられなければ、判断の質も、コミュニケーションの質も下がってしまいます。

   だからこそ本書では、「リーダー自身をどうマネジメントするか」にも焦点を当てています。時間の使い方、優先順位のつけ方、感情の扱い方、適切な休息の取り方。これらは軽視されがちですが、長期的に成果を出し続けるためには不可欠な要素です。

   今回、あらためて確信したことは、「リーダーは最初からできる人ではない」ということです。むしろ、多くの人が戸惑い、失敗し、試行錯誤しながら成長していきます。そして、その過程で最も重要なのが、「小さく試すこと」です。

   いきなり理想のリーダーになろうとする必要はありません。今日の会議で一つ問いかけを増やしてみる。明日の1on1で、相手の話をいつもより丁寧に聞いてみる。週に一度、チームの小さな成功を言語化して共有してみる。そうした小さな行動が、やがて大きな変化につながります。

   リーダーシップは、一部の特別な人のものではありません。誰もが必要に応じて担う可能性のある役割です。そして、それは「センス」ではなく、「学習」と「実践」によって磨かれるものです。

   もし、いまリーダーという役割に不安を感じているなら、それはごく自然なことです。そして、その不安は決してマイナスではありません。「きちんとやりたい」という意思の裏返しだからです。その思いがある人は、必ず伸びていきます。リーダーという役割が、「重荷」ではなく「可能性の広がる機会」として捉えられるようになることを願っています。



【筆者プロフィール】
高城 幸司(たかぎ・こうじ)/株式会社セレブレイン代表取締役社長。1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。

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