2024年 3月 19日 (火)

大江健三郎さん

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「励まし」と「救済」の文学 ノーベル賞の大江健三郎さんは何を残したか

   作家の大江健三郎さんが亡くなった。88歳だった。川端康成さんに続いて、日本人としてノーベル文学賞を受賞した大江さんは、大学在学中に芥川賞を受賞。その後も次々と問題作を発表し、同時代の日本人に大きな影響を与え続けた。反核、護憲など、単なる作家にとどまらない多彩な活動でも知られ、戦後にデビューした日本文学者の中では、別格の存在だった。

20代で問題作を連発

   若くして芥川賞を受賞する人は少なくない。しかし、受賞後、立て続けに新作を発表し続けた作家はほとんどいない。大江さんは、その稀有な一人だった。

   大江さんが芥川賞を受賞したのは58年、23歳の時だった。この年は、「文学界」1月号に受賞作となる『飼育』、すぐに同年の「新潮」2月号に『人間の羊』、「文藝春秋」2月号に『運搬』、「文学界」3月号には『鳩』、「群像」6月号には初の長編『芽むしり仔撃ち』、「文学界」6月号には『見るまえに跳べ』など、1年に10本近いハイペースで作品を発表し続けた。

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