4800枚の「証言」 芸大生「自画像」が語る日本の若者
2007年08月14日18時35分
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(c)NHK
東京芸術大学には、4年生が卒業制作に自画像を描く伝統がある。明治31年(1898年)の東京美術学校から始まり、現在まで110年間も続いている。学生が描いた自画像は大学が買い上げる。明治から平成までの青春の自画像が4800枚も保存され、世界に誇る貴重なコレクションとなっている。
膨大な数の自画像は、一筆ごとに自分を鏡に映し、「自分は何者なのか」を問い、格闘した若者の存在証明である。自画像には未来への希望と不安が映されている。明治・大正・昭和・そして平成まで、時代の軋みに翻弄されながら自分を描こうとした若い日本人の魂が詰まっている。
創立120周年の節目の年にあたる2007年、東京芸大はNHKと共同で「自画像の証言」展(8月4日~9月17日)を企画した。大学の収蔵品はふだん一般公開されないため、自画像が見られるのはこの展覧会だけだ。
なかには無名のまま生涯を終え、世に残る唯一の作品がこの「自画像」だけという例も多い。番組では、人の目に触れることの無かった自画像の封印をとき、知られざる作家たちの人生を発掘する。日本の若者が、近代化した日本で自分をどう表現してきたかを見つめる。