戦犯の命救ったヒット曲 薬師丸ひろ子の「惜しい」点

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「戦場のメロディ」(フジテレビ) 2009年9月12日 21時~

   渡辺はま子の大ヒット曲『あゝモンテンルパの夜は更けて』は有名なので知っていたが、背景にこんな挿話があったとは知らなかった。終戦後7年も経ってから、まだ第2次世界大戦の戦犯としてフィリピンに収監され、次々にいい加減な裁判で死刑を執行されてゆく戦犯たちのうち、100人以上をはま子は歌の力で救ったのである。
   筋書きは書かないが、印象的な実写場面。教戒師加賀尾がキリノ大統領に面会する。助命を乞うだろうと内心バカにしていた大統領に、彼は渡辺はま子の『モンテンルパ』の吹き込まれたオルゴールを渡す。戦犯たちが自ら作詞作曲した望郷の歌だった。家族を日本兵に殺されたキリノの心でさえ動き、彼は囚人の特赦を命じた。
   死刑囚だった堀江留吉は90歳でまだ生きている。実写部分とドラマ部分の編集が巧みである。ただし、はま子(薬師丸ひろ子)が慰問のためフィリピンを訪れ、27年12月25日に監獄でコンサートを開いた場面で、看板に『歓迎 渡辺はま子様』と書いてあったが、この頃はまだ新聞記事でも『渡邊はま子』と旧字体で書いてあったから、これはペケ。リール式の録音機が立派過ぎる気もする。
   薬師丸ひろ子は歌も上手いが、渡辺はま子と決定的に違うのは鼻濁音が出来ていないこと。音大出のはま子は完璧である。ディレクター自身にわかる人がいなくなった不幸である。まあ、この点は目を瞑るとして、掘り出し物の大戦悲劇、佳作ドラマである。

(黄蘭)

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