「シベリア抑留」給付金も実態解明も放置した「戦後処理問題懇談会議」

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   第二次世界大戦後の「シベリア抑留」はまだ終わってない――というのが今回の放送の趣旨だ。いまだ実態が不明な点は多く、最近になって先方の資料が見つかり、何十年も前に死亡していたことがわかった抑留者の死亡通知が遺族に送られるなどしているという。

「やりだしたらきりがない」と切り捨てた役人たち

   当時、日本軍兵士を中心に約60万人が旧ソビエトに抑留されたというが、なかには民間人もおり、番組ではこんな「実態」の証言もあった。

   16歳の旧制中学生。終戦直後の学校宿舎に、ソビエト軍兵士と日本軍の大尉がやってきた。大尉が言うことには、「君たちを内地に連れて行ってやる」。しかし、不審なことに大尉は「年齢を聞かれたら18歳と言え」と指示するのだった。中学生26人はシベリアに連れて行かれ、3年間重労働を強いられた。

   一方、今国会では、シベリア抑留者に給付金を支給するとともに、抑留の実態解明を進める法案が成立する見通しだ。

   しかし、なぜいまごろ!? 最近NHKは、戦後処理を方向づけた昭和57年の「戦後処理問題懇談会議」や官僚による準備会合の資料をゲットしたという。ちなみに当時は抑留者や被爆者など、戦争被害者が政府に補償を求める動きが活発だった。

   準備会合では、「外務省として、懇談会で取り上げ検討することすら、すべて反対」(外務省課長)、「パンドラの箱をぐっと閉める方向に持って行きたい」(内閣審議室長)などの発言があった。会議はそうした官僚らのお膳立て通りに進んで行ったという。

「空襲の被害を含めてあまり対象を広げると寝た子を起こすことになる」(元内閣法制局長官)
「あまり突くと広がりすぎることになる」(三菱総研副社長)
「やりだしたらきりがない」(元自治事務次官)

   抑留者団体の意見を聞いてみようとする常識的な委員もいたが、「過大な期待を与えるおそれ」(内閣審議室長)があるなどとして、反対された。

   こうして、パンドラの箱は固く閉ざされ、抑留問題は見事にフタがされ、放置されたまま、今日に至ったものと思われる。

ボンド柳生

*NHKクローズアップ現代(2010年5月25日放送「シベリア抑留 終わらない戦後」)

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