日本農業「海外進出」始まった!新富裕層狙い現地生産・販売
2011.03.11 15:51
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日本の農業が海外に続々と進出している。武器は狭い農地での高い品質、高い収穫に工夫を凝らした生産管理技術。農薬や化学肥料を使わない有機栽培などが海外で人気となっているのだ。進出農家も「日本の農業技術は世界一。間違いなく勝てる自信はある」と言う。
土地の安い海外で生産し、そのまま現地で販売する「現地生産」「現地販売」を目指していて、対象先はアジアの新興国である。
最大手「ドール」に匹敵する販売量
経済成長が続くタイ・バンコク。日本法人によって現地で栽培されたバナナが、デパートや高級スーパーの店頭で富裕層を中心に人気だ。農薬や化学肥料を使わない有機栽培がその理由で、価格は通常に比べ3倍ほど高いが、250店舗で売られ販売量は世界最大手のドールに匹敵する。
生産しているのは千葉県から進出した農事組合法人。徹底した日本流の生産管理技術を用いて6年前から開始した。100か所の農場を毎月定期的に点検し、隣の農家で農薬を使っていれば農薬が飛んでこない距離まで栽培場所を離す。
タイでは富裕層の購買力が今後10年で4倍近くになると見込まれ、長野県のブドウ農家はタイで市場調査したところ、アメリカやオーストラリアからの輸入ブドウに比べて「甘さで勝てる」と自信を得た。
課題もあった。タイはブドウ栽培には雨が多すぎるうえ、土の養分も不足している。そこで地面に植えずに鉢で育てる方法を考えた。鉢にブドウを植え付け、水はけや養分を含む土の配合などを研究して技術的なメドはついた。早ければ5月にも試験栽培を始めるという。