2024年 4月 30日 (火)

長嶋・松井ダブル国民栄誉賞の裏にナベツネの思惑―ゴジラを読売に戻したい

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   ジャズが好きだ。学生時代J・コルトレーン(1967年7月17日没)が亡くなったのを知り、早稲田大学の文学部近くのジャズ喫茶で一晩中泣きながらコルトレーンを聞いていたことを思い出す。いまでも寝るときにかける子守歌はキース・ジャレットの「The Melody At Night, With You」である。

   『週刊朝日』の「21世紀版ジャズ喫茶名鑑」によれば「ジャズ喫茶」というのは日本独特の文化だそうである。1929年に東京東大赤門前で開業した「ブラックバード」が最初だという。最近は次々に新しいジャズ喫茶が生まれ、なかなか盛況らしい。1933年開店した現存する最古のジャズ喫茶「ちぐさ」は横浜でやっているらしい。四谷の「いーぐる」にはよく行った。後藤雅洋さんが弱冠20歳で始めたのだそうだ。

   私が住んでいる中野の新井薬師に1年あまり前にできた「ロンバーチッチ」は夫婦でやっている。会社勤めをしていたが33歳でやめて夢を叶えた。

   東京・神宮前には27年続く「J-Cook」。色川武大さんが好きで、そのためもあって移り住んで亡くなった、一関市の「ジャズ喫茶ベイシー」は私にとっても懐かしい店だ。色川さんが亡くなる直前まで書いていたのは、私がもらうはずだった『月刊現代』の原稿だった。連載は3回で終わってしまった。「ベイシー」でジャズを聴きながら、いろいろ聞きたいことがあったのに。

同じ石川が地元の森喜朗元首相通じて授賞根回し

   私は4月5日(2013年)の当欄で、長嶋と松井に国民栄誉賞を授与するのはおかしいと書いたが、『週刊現代』も「何かちょっと違う気がする」と異を唱えている。しかし、私の考えとは違っていて、長嶋には妥当だが、松井にあげるのは、裏に何か読売新聞の思惑があると書いているのだ。読売新聞OBでジャーナリストの大谷昭宏氏がこういっている。

<「このできすぎの美談の背景に、安倍首相と読売新聞の思惑が見え隠れします。実はミスターの受賞は昨年末には決まっていたようで、12月には安倍首相から原監督に話があったのです」>

   ナベツネさんは他球団には松井を渡したくない。メンツにかけて読売に戻したいと思い、政界と球界の大物を頼り、なりふりかまわず最後のカードを切ったと、巨人OBが解説している。週刊現代によると、<時系列で見ていくと、最初に安倍首相から原監督にこの話があったのが昨年12月。つまり松井が引退会見を開いた前後である。だが、自民党の中堅代議士によれば、安倍―原ラインとは別に水面下で話が進められていた形跡があるという。

   「森(喜朗元総理)さんが動いていたようです。森さんとナベツネさんは昵懇。松井は森さんの地元・石川の有名人ですからね」>

   <しかも、昭和の大横綱・大鵬として活躍した納谷幸喜さんに生前授与できなかったことが問題視されている今、授与すれば、「ミスター、どこか悪いのでは?といらぬ健康不安説を煽りかねない。そこで浮上したのが、師弟ダブル受賞というプランだったのである。

   松井を巻き込むことは、読売にとっても渡りに船だった。いかに読売が「次期監督指名」と盛り上げても、松井は背を向けたままだったからである。

   しかし松井の知人はこう批判する。

   「あれだけ『次の監督は由伸』『松井よりも、イチローこそ巨人軍の監督にふさわしい』なんて言っていたナベツネさんに『原の次は松井』と言われたって、何も響かないでしょうよ。『巨人からヤンキースにコーチ留学させるプランもある』という記事も出ていたけど、わざわざ読売を通す必要がない。ヤンキースなら、松井が自分で頼めますからね。余計なお世話ですよ」(松井の友人)>

   松井を巨人にほしくて長嶋を使ったとすれば、ますます国民栄誉賞が不純なものに見えてくる。ミスターにはそんなものはいらない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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