2024年 4月 26日 (金)

桂歌丸・和田アキ子を苦しめる「COPD」肺機能低下で座っていても呼吸困難!死亡原因第3位

   落語家の桂歌丸と歌手の和田アキ子。妙な取り合わせだが共通点がある。2人が闘っているのはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気だ。肺機能が低下し、座っていても息苦しくなり、放置しておくと呼吸困難に陥り、酸素吸入器が手放せなくなる。重症化すると肺炎で死に至る。主な原因はタバコの煙に含まれている有害な微粒子で、長年タバコを吸い続けている高齢者に多く、世界の死因第3位だ。

   国内では潜在患者数530万人と推定されているが、実際に治療を受けている人は22万人に過ぎない。多くの人が気付いていないか、正しく診断されていないと見られている。

喫煙歴ある60歳以上

   もともとは慢性気管支炎と肺気腫という別々の病気とされていたが、併発することが多いために20001年に一つの呼び名になった。発症リスクがとくに高いのは20年以上の喫煙歴がある人だが、見過ごされやすく60歳を超えるころから重症化する傾向がある。

   どんな症状なのか。桂歌丸師匠(78)が体の異変に気づいたのは10年ほど前だった。「変な咳が出たり、痰が絡んだりしていたんです。かかり付けのお医者さんには見てもらっていましたが、精密検査しませんから、ただの風邪だと思っていました」という。専門医の診断でCOPDと分かったのはそれから5年がたってから。「なにが一番の元だって聞くと、先生はタバコだと。もっと早く止めておけばよかった」と悔やむ。

   症状は進み、診断から5年たったいま、数メートル歩くだけで息切れするため、高座には車椅子で向かう。熱演1時間を終えると息苦しさも限界に達する。「鼻をつままれてしゃべっている感じ」。高座を下りて楽屋に戻ると、さっそく酸素吸入器を使いようやく落ち着きを取りもどすという日々だ。

PM2.5で症状悪化

   原因は煙に含まれる100分の1ミリにも満たない有害な微粒子。肺の中へ入ると気管支に炎症を起こし、空気が通る気道が狭くなる。気管支の先にある肺胞にも影響を及ぼし、酸素を取り込み二酸化炭素を排出するガス交換ができなくなる。ひとたび破壊された肺機能は元に戻らず呼吸困難な状態になるという。

   WHO(世界保健機関)のデータによると、死因で多いのは虚血性心疾患、脳卒中で、COPDはそれに次ぐ(日本では9位)。中国はとくに多い。大気汚染のPM2.5が深刻化し、患者は4000万人もいるといわれている。広州市で今月7日(2014年11月)に開かれた呼吸器学会の会合で、「PM2.5がたばこによるCOPD潜在患者の症状を悪化させている」と指摘があった。

   では、症状を食い止め日常生活を維持するにはどうしたらいいのか。この病気は、呼吸に普通の人の10倍以上のエネルギーを消費するのが特徴だという。まずタバコを止め、薬物療法に加えて、体を動かすことによって食事を十分とり衰弱を食い止める。日本呼吸器学会理事の北海道大大学院・西村正治教授は「日本でもこれから患者は増えるだろう」という。

「かつての高い喫煙率を考えると、いまやめたとしても、高齢とともに病気が起きる可能性はあります。同時に肺炎の死因が第3位で、圧倒的に高齢者に多い。この背景にCOPDが隠れていて、診断されていないのではと多くの呼吸器の先生は感じています」

   国谷裕子キャスター「早期発見で症状の悪化を食い止められるのでしょうか」

   西村教授「壊れたら取り戻すことはできませんが、薬物療法、運動療法、栄養療法である程度は抑えることもできます」

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2014年11月26日放送「忍び寄る病~『COPD』の脅威~」)

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