2024年 4月 27日 (土)

安倍内閣に再び年金の悪夢!第1次退陣時の縁起悪い「A級戦犯お友達」が担当大臣

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「政権が吹っ飛びかねない問題だぞ」

   『週刊文春』によれば6月4日(2015年)の自民党の厚生労働部会で、ベテラン議員のこんな怒声が響き渡ったという。公的年金の給付などを行う特殊法人・日本年金機構がウイルスメールによる不正アクセスを受け、基礎年金番号や氏名など125万件の個人情報が流出した事件のことである。

   安倍首相の頭には、第一次安倍内閣で納付者を特定できない国民年金や厚生年金が5000万件以上あることが発覚して、社会保険庁が解体され、世論の猛反発を受けて退陣に追い込まれたあの「悪夢」が甦ったに違いない。

   当時の官房長官は「お友達」の塩崎恭久氏で、彼は政権を崩壊させた「A級戦犯」といわれたが、今回の流出事件の担当もやはり塩崎厚労相だった。歴史は繰り返すようである。

   週刊文春によれば、5月8日に福岡・博多にある日本年金機構九州ブロック本部の職員が「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)に関する意見」と題されたメールを受信し、その職員が自分のPCでメールを開いたことから始まったというが、この組織のセキュリティの甘さと対応の遅さには腹が立つより呆れてしまう。後で触れるが、年金だけでなく、すべての情報を一括管理しようと国が企む「マイナンバー」だったらと思うとゾッとする。

   この機構の責任者・水島藤一郎理事長の引責辞任は当然だが、この情報が悪用されて被害が発生しても「補償しない」と塩崎がいい放ったのには驚いた。すぐに審議官が補償する意向を表明したが、こんな輩は即刻クビにすべきである。

   年金機構には問い合わせが殺到しているそうだが、その対応には知識もないアルバイトが集められ、何の根拠もないのに「悪用される心配はございません」とたどたどしく答えているそうだ。

   漏洩した件数は125万件以上あるのではないかともいわれている。漏れた「基礎年金番号」「住所」「氏名」「生年月日」だけでも、犯罪に利用するプリペイド式のレンタル携帯を借りることができるなど、「十分悪用ができる」と詐欺事件の前科を持つ某氏が話している。また、みんなが自分の情報が漏れているのではないかと心配しているだけに、ジャーナリストの多田文明氏のいうように「詐欺に遭う可能性が高まる」ことは間違いないだろう。

   国民のあらゆる情報を一元管理するマイナンバー制度は13年に成立しており、来年1月から税、社会保障、災害対策の3分野で実施されることになっているが、国のセキュリティの甘さが露呈したいま、即刻中止すべきだ。このような制度を実施しているアメリカなどでは、なりすましによる税の不正還付や社会保障番号の売買などの実害が出ているのだから。

   白鵬大学の石村耕治法学研究科長のいうように「制度の構想を始めた二十年前ならまだしも、今ではマイナンバー制度は時代錯誤」だから、白紙に戻して考えるべきである。

「安保法制」憲法学者からダメ出し審議進まずで「強行採決2連発」で内閣総辞職?

   国会でつまらぬヤジを飛ばして謝罪するなど、居丈高な態度が目につく安倍首相だが、彼が何としてでも成立させるとしている安保法制の核になる「集団的自衛権の行使」が、ここへ来て保守派の憲法学者からも「違憲」だとされ、『週刊新潮』によれば「棺桶に片足を入れた」状態になってしまったようだ。

   憲法審査会に呼ばれた3人のうち、自民党推薦の長谷部恭男早稲田大学大学院教授までが「集団的自衛権の行使は許されない」と発言したのに、よせばいいのに菅官房長官は会見で「違憲じゃないという著名な憲法学者もいっぱいいる」と発言してしまった。

   翌日、朝日新聞の記者が「憲法学者とは具体的に誰のことか」と質問されて、菅は「有識者(安保法制懇)にも憲法学者がいた」と答えたが、記者から「安保法制懇に憲法学者は1人。いっぱいではないのでは?」とたたみかけられしどろもどろになってしまったと週刊新潮が報じている。

   何としてでも8月頭までには成立させたい安倍首相だが、専門家からはダメを出され、支持率もだんだん下落しているなかで強行採決などしたら、それこそ日米安保条約で辞任した岸信介の二の舞になる。さらに、7月には北朝鮮による拉致問題再調査の回答期限が来るが、ゼロ回答になったら支持率急落は間違いない。

   ここへ来て日銀の黒田総裁がこれ以上の円安に懸念を表明するなど、安倍組内部からも不協和音が聞こえてくる。第二次安倍内閣の断末魔は近いのかもしれない。

   そんな安倍首相に「マスゴミ」のトップたちがいまだに擦り寄っていると『週刊ポスト』が批判している。中味は今までと同様、NHKの安倍寄り偏向報道や大新聞の社長や記者たちが手もみして安倍と会食していることへの批判、週刊誌発の政治家のスキャンダルを、初出を明記しないで「〇〇日、??政治家に問題があることがわかった」とパクる大新聞は恥ずかしくないのかと怒っている。

   週刊ポストのいうことはいちいちもっともである。日本の新聞やテレビのエライさんたちは、安倍のような権力者とメシを食うことが「権力と同化する」ことだととらえられないとは、貧すれば鈍するということなのであろう。私は今の大メディアに何一つ期待してはいない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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