2024年 5月 7日 (火)

田中角栄「23回忌」いまだ懐かしむ声・・・それにつけても安倍首相の魅力のなさよ

「衆参ダブル選挙」来年7月10日!おおさか維新・橋下と組んで改憲まっしぐら

   週刊ポストは少し前に安倍首相の引退が近いという特集を組んだばかりだが、今度は安倍首相が衆参同日選挙に踏み切り、その結果、自民党一党独裁政権ができるという特集を組んでいる。週刊誌のよさも悪さも「いい加減」なところである。朝令暮改は当たり前なのだ。

   来年7月の衆参ダブル選を首相周辺は考え始めたというのである。これが実施されると憲政史上3回目になる衆参同日選挙だが、そのXデーは7月10日になるそうだ。自民党内で衆院選と参院選の同日選挙論が急速に広がっている。口火を切ったのは佐藤勉国会対策委員長だった。11月28日の自民党議員のパーティーで、「来年ダブル選挙があるかもしれない」とぶち上げた。次に谷垣禎一幹事長も「いろいろな可能性はある」と追随し、伊達忠一参院自民党幹事長も参院選との相乗効果が見込めると歓迎のコメントを出した。

   政権与党の幹部たちがここまで解散日程に踏み込むのは異例といえると書いているが、そうだろう。解散総選挙は総理大臣の専権事項であり、党幹部は解散について質問されても言及しないというのがこれまでの慣例だったからである。

   総選挙は解散の日から40日以内と定められるなど、投開票日は国会日程との絡みで細かい制約がある。その数少ないチャンスの日が7月10日だというのである。しかし、その日に同日選挙を実施するためには、通常国会を正月の1月4日に召集し、安倍首相は会期末の6月1日にピンポイントで衆院を解散しなければならない。しかも、1月4日には宮中で「奏事始」という祭儀が行われるのだが、天皇に国会への臨席を求めなければいけない(開会式は招集の数日後にすることも可能のようだが)。

   その高いハードルを安倍首相は乗り越えようと「決断」したようである。11月16日、「大変異例だが1月4日に通常国会を召集したい」と外遊先のトルコで同行記者団に表明したのである。その背景にはこういう腹づもりがあるという。野党は選挙への準備不足である。安保法制で落ち込んだ内閣支持率が今や40%台まで回復している。おおさか維新の会が知事・市長のダブル選挙で大勝したこともある。橋下氏は同日選挙となれば衆院選に出馬するかもしれない。そうなれば橋下維新の会を取り込める。

   さらに、朝日新聞の自民党員への世論調査で、安倍首相は小泉純一郎、田中角栄など並みいる歴代総裁を抜いて「最も評価する総裁」の第1位に選ばれたのである。これは憲法改正に積極的だという点が評価されたのであろう。

   週刊ポストは、安倍首相が増税再延期を掲げて同日選挙を打てば圧勝するのは間違いないと読む。選挙資金は大企業から分捕る。法人税減税をすれば選挙の資金作りには困らないというわけである。こうやって同日選挙で大勝して、おおさか維新の会と組んで3分の2を確保できれば「21世紀自民党」結党で憲法改正へとまっしぐらに進むというのである。

   当て事と越中褌は向こうから外れるの喩えあり。安倍首相が考えそうなことだが、そううまくいかせてはならないという良識が、われわれ多くの国民の側にもある。来年の参議院選が「関ヶ原」になることは間違いない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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