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映画『この世界の片隅に』と『沈黙-サイレンス』
ところで日本映画界が久しぶりに活況である。特にアニメ『君の名は。』が興収200億円を超えた。私は未見だが、やはりアニメでキネマ旬報で第1位になった『この世界の片隅に』を遅ればせながら見た。
広島の呉が舞台なので、戦争と原爆の泣かせ映画かと思っていたが、そうではなかった。戦前、戦中を生き抜いたひとりの女性の生活を淡々と描いたものだった。
アニメということもあるのだろう。焼夷弾で町が燃え上がるシーンも、死体が埋め尽くす光景も、何かおとぎの国の話のように思えたが、見終わると、何か心の中に戦争という悲劇がもたらした重いものがオリのように沈んでいた。
封切り日にスコセッシ監督の『沈黙-サイレンス』を見た。遠藤周作の原作に感動した彼が、長年温めてきた企画だという。
ポルトガル人の宣教師2人が、師と仰ぎ日本に渡って布教活動をしていた宣教師が「棄教」したという知らせを受け、長崎へ向かう。隠れキリシタンの村人が彼らを匿うが、次々に役人に捕まり、激しい拷問を受け、棄教を迫られる。
全編暗い色調。自分達を守るために苦しむ信者たちを見て宣教師のひとりは、「なぜ神は我々にこんなにも苦しい試練を与えながら、沈黙したままなのか」と問う。
私のような信仰心の薄い人間には「神の沈黙」という主題がピンとはこないが、これだけの重いテーマを描ききったスコセッシはさすがだと思う。