2024年 4月 27日 (土)

日本はアメリカの「劣等同盟国」だった!米諜報機関の秘密ファイルを入手

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   米国NSA(国家安全保障局)の秘密未公開ファイルをNHKが入手した。日本に関する内部報告書13通の中には、米国が同盟国の日本を諜報活動の対象にし、情報を他国と共有していたことや、横田基地の通信施設建設や沖縄県内の施設移転経費を日本が出したことなどが記されている。驚きの事実を政府がひた隠しにしていた可能性が高まった。

 

   武田真一キャスター「極秘文書のスクープです」

 

   NHK久々のスクープというだけで終わらせずに、米国が日本をどう扱ったかの実態解明と税金が米軍のために使われた疑惑の追及を、この際、他メディアも野党も進めなければいけない。

   「米国は世界中で盗聴や通信傍受を行っている」と告発してロシアへ亡命したエドワード・スノーデン元CIA職員が2013年に暴露した資料には「コレクト・イット・オール」(すべてを収集する)と記述されていた。オバマ政権はいきすぎを認めたが、あの「スノーデンファイル」は秘密資料の一部に過ぎなかった。

 

   NHKはスノーデン氏が調査報道NPOの「インターセプト」に託したファイルの提供を受けて取材を進め、米国、ニュージーランドなど5カ国だけが閲覧できるというトップシークレットを読むことができた。この5カ国「ファイブ・アイズ」に日本は入っておらず、ことあるごとに日米同盟を強調する日本政府は随分と軽く扱われていたことになる。

日本が米国の諜報活動に資金提供

 

   その秘密ファイルには、日本が米国の諜報活動に協力して、資金を出したとしるされている。

 

   2007年、沖縄県内で通信施設を移設するとき、日本から約5億ドルが提供されたという。ファイルには「このミッションは無事、完了した」とある。

 

   米軍横田基地でも最新鋭の通信施設建設費660万ドルの「ほとんどを日本が拠出し、37万5000ドルの人件費まですべて日本政府が支払ってくれた」と書かれていた。さらに「紛争地での諜報活動に使われた」「特筆すべきはアフガニスタンのアルカイダ攻撃を支えたアンテナである」といった記述もあった。

 

   この件についてNHKはNSAに問い合わせたが「一切コメントしない」との回答だった。防衛省は「どのような資料か承知していないため、コメントを差し控えます」としている。

 

   日本が米軍のために使うのは思いやり予算だけではなかったのか。宮下紘・中央大准教授は「すべてのプロセスを明らかにしたうえで民主的な議論が必要」と指摘する。

 

   大韓航空機がソ連上空に侵入したとして撃墜され、日本人28人をふくむ269人が死亡した1983年の大韓航空機撃墜事件では、日本の情報が異例の使われ方をした。ソ連は当初、関与を認めなかった。このとき、実は自衛隊がソ連の通信を傍受していたが、こうした情報入手は公表すると相手国にシステムを変えられるため普通は決してしない。それを日本から提供を受けた米国がソ連非難のために国連でぶちまけた。

 

   米国NSAの元職員、カーク・ウィービー氏は「傍受記録はすしの箱に入れてあり、魚の臭いがしたことを覚えています」と語る。

 

   情報を扱う場合の常識にも信義にも反する行為だった。

 

   池上彰(ジャーナリスト)は「その後、ソ連の情報傍受ができなくなった。情報をどう共有するかはたいへん大きな問題です」という。

 

   田中泉アナ「日本は米国の同盟国の中でサード・パーティというグループに分類され、秘密情報の共有は限定的です」

日本が監視対象に

 

   しかも、日本そのものが諜報活動の監視対象になっていた。

 

   2007年に米国で開かれたIWC(国際捕鯨委員会)総会は、商業捕鯨が再開されるかが焦点だった。日本は日本沿岸での小規模捕鯨ができるように改める案を切り札に加盟国に働きかけていた。「ロビー活動などで手ごたえを感じていました」(交渉団の一員だった森下丈二氏)という。

 

   秘密ファイルによると、このとき反捕鯨国は「会場から30キロ離れた米空軍基地に毎朝7時に行く必要があった」という。ファイルは具体的内容までは書いていないが、日本の動きに関する秘密情報をファイブ・アイズの国々で共有していた。ファイルには「秘密にした資料をニュージーランドやオーストラリアの代表に声を出さずに読んでもらって、読み終えるとシュレッダーにかけた」とある。

 

   ジェフリー・パルマ元ニュージーランド首相は「詳しいことは言えないが、とても役に立ったとは言える」と、米国から諜報内容を伝えられていたことを認めた。IWC総会は日本の事前感触とは違って、沿岸捕鯨案は議論も採決もできなかった。

 

   NSA元職員のトーマス・ドレーク氏は「米国の諜報活動に制限はない。他国をスパイし、黄金のような情報を収集する。国家の不正は不正ではないという人もいる」「IWC総会は努力に見合う結果になった。クジラもきっと喜んでいるだろう」とうそぶいた。

 

   池上さんは「驚くべきことで、日本は抗議すべきだった」「日本はいつも米国から情報をもらっているという引け目があって、もの申すことがでない。国会の監視のもとできちんとした情報収集システムを作る必要がある」と指摘した。

 

   今回わかった予算や情報の流れからは、日本が思うほどには米国は扱ってくれず、まるで「劣等同盟国」ともいうような実態が浮かび上がる。日米地位協定の改定やオスプレイの配備再検討なんか、切りだすこともできないはずだ。

 

   武田キャスターは「木曜に第二弾を放送します」と結んだ。スノーデン氏への直接取材やあらゆる人の通信を収集する大量監視プログラムが米国から日本政府に提供された問題に話が及ぶだろう。政府による市民監視となれば、共謀罪法案(テロ等準備罪法案)との関わりもある。中途半端で終わらせてはならない。

クローズアップ現代+(2017年4月24日放送「アメリカに監視される日本 スノーデン"未公開ファイル"の衝撃」)

文   あっちゃん
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