2024年 4月 26日 (金)

加計学園理事の内閣官房参与「文科省は従えばいい」 週刊文春スクープも朝日と同着に

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   久しぶりに読売新聞、産経新聞、朝日新聞を買って読み比べてみた。6月1日(2017年)の読売の一面トップは「五輪費1.4兆円 分担大枠合意」、産経は「米、パリ協定離脱へ」、朝日は「加計学園理事の内閣官房参与 新学部、前次官と話題に 面会認める 圧力は否定」

   朝日にはパリ協定離脱もアフガンでテロが起きたことも載ってはいるが、加計学園問題がトップというのは、意気込みは買うがいささか違和感がある。重要性からいえば米、パリ協定離脱であろう。

   では加計問題を読売と産経はどう扱っているのだろう。読売は4ページ目の政治の下に小さく「萩生田官房副長官文書記載日に面会 加計学園問題」とあるだけ。産経は5ページ目の総合で、安倍ベッタリ記者の筆頭格である阿比留瑠比記者が「民進よ、政治主導をお忘れか」と大きな見出があるその下に、「『加計国会』追及も証拠なく」として、前川喜平前文科事務次官の爆弾発言もあるが、「首相の関与を示すような決定的な証拠は得られず、手詰まり感が広がる」と、安倍政権に一点の曇りもないという見方。

   今日の各紙の紙面には週刊文春、週刊新潮の広告があるからまだいいが、読売と産経の読者には、加計問題が安倍政権を揺るがす問題になっているということはわからない。新聞という公器が、これほど情報に差をつけること自体、安倍政権にとって何か不都合なことがあるのだろうと思わざるを得ない。

   朝日が報道した内容は、週刊文春で前川前次官が証言している「当時、加計学園の理事で内閣参与だった木曽功氏が、私に会いに来て、『国家戦略特区制度で、今治に獣医学部を新設する話、早く進めてほしい。文科省は諮問会議が決定したことに従えばいい』と言われた」とほぼ同じだから、時系列的にいえば週刊文春がスクープし、朝日が後追いして発売日と同時に出したということになる。さすが週刊文春である。

「前川さんのおかげで今がある」

   週刊文春はさらに、前川が頻繁に通っていた「出会い系バー」を取材し、バーで出会い3年間で30回以上も前川と食事し、時にはタクシー代として5000円もらったという26歳の女性を見つけ出し、話を聞いている。

   新聞広告で見ると、前川前次官はやっぱり買春していたのか、週刊文春よ、そこまでやるかと思ったが、読んでみるとそうではない。

   要点だけを紹介しよう。件のA子は、その店へ無料で借りられるヘアアイロンや携帯の充電器目当てで来ていた。女の子はフリードリンクでフードが一品タダになる時間もあるので、そうやって時間つぶしをする子も結構いるらしい。

   11年の冬に友人2人で来たところを前川に指名された。その日は3人でパフェを食べて別れたという。その後、彼女から連絡して歌舞伎町のダーツバーなどで友だち何人かと遊んだが、12時ぐらいになると前川はそそくさと帰っていった。

   その頃は文科省の偉いさんとは知らなかった。彼女は知り合いが死んで勉強に身が入らず、大学を辞めてキャバクラ嬢の体験入店などを繰り返している時期で、前川から「早く就職したほうがいい」といわれたそうだ。

   百貨店の婦人服売り場で働くようになったときは、売り場にも足を運んでくれたという。その後高級ブランド店に就職が決まった時は、友達と一緒に食事をおごってくれ、「何でも買っていい」と歌舞伎町のドン・キホーテへ連れて行ってくれたという。ドン・キホーテっていうのがいいね!

   A子の両親も前川の存在は知っていた。当然ながら週刊文春も、2人の間には本当に肉体関係はなかったのか聞いているが、彼女は「ありえないですよ。私、おじさんに興味ないし」と否定している。

   就職してから会う回数が減ったが、今年の1月、天下り問題でテレビに出ている前川を見て、官僚だったことを知ったそうだ。

   A子は、取材に応じた理由をこう話している。

   「記者会見のあった二十五日に、お母さんからLINEが来て『まえだっち(前川のあだ名=筆者注)が安倍首相の不正を正している』。それで、お父さんとテレビ見て『これは前川さん、かわいそうすぎるな』と思ってお話しすることにしました。(中略)私は前川さんのおかげで今があると思っていますから」

   できすぎた話のようにも思えるが、週刊文春によれば、前川は退職後、夜間中学の先生をボランティアでやっているそうだ。

   売り上げ812億円、営業利益92億円を叩きだしている「優良企業の御曹司」(週刊新潮)で、祖父は、私がいた講談社の近くにある男子大学生向けの寮「和敬塾」を設立した人物。村上春樹も大学時代はここに入寮していたという。

   東大法学部を卒業したが、どうしても役人になりたくて家業を継がず、しかも、優秀な成績にもかかわらず文部省を選んだ「反骨の人」なら、こうした女性との付き合い方もあるのかもしれない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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