終活の一環で増える「遺贈」 贈り先はさまざま年間300億円に
自分の遺産をNPOや企業に寄付する「遺贈」という動きが広がっており、いま遺贈について学ぶセミナーなども全国で開催されているそうだ。国の調査によると、年間300億円ほどが遺贈されており、遺贈件数は急速に増えているという。
「たとえば日本盲導犬協会に対しては、この3年で2倍。国境なき医師団には2.5倍と、広がっているんです」(鎌倉千秋キャスター)
遺贈する理由には「人生の最後に社会の役に立ちたい」「たとえ少額でも、生きた証しを残したい」「感謝の気持ちを伝えたい」などがあるそうだ。
「私たちもたくさんの相談を受けてますが、終活の一環で、人生の集大成としてどんな社会貢献をするか、考えている方がすごく増えている」「生きているうちは、どのぐらいお金がいるか心配ですけど、亡くなるときを生かして社会貢献しようと」(遺贈をサポートする「全国レガシーギフト協会副理事長」の鵜尾雅隆さん)
遺贈先の例には、地元の科学館や動物園、自分が働いていた保育園、妻が世話になった病院など。夫を難病で亡くしたというある女性は、同じ病気に苦しむ人の助けになればと、IPS細胞研究所に1000万円を遺贈。研究資金などに活用されているという。
現在は遺贈をする人の割合は0.1%程度だが、シニアの2割ぐらいが遺産の一部を寄付することを検討しているとの調査もあるそうで、遺贈が今後、さらに広がるとの期待もあるそうだ。
「しかし、(遺贈すると)相続するつもりの親族と争いごとになるケースもあります。それをうまく避ける方法とは?」(武田真一キャスター)
トラブル防ぐにはメッセージ添える
遺贈に詳しいという弁護士の樽本哲さんによると、トラブルを防ぐには、遺言書に遺贈を記すだけでなく、思いを一言、添える(付言)することが第一のポイントだという。
「自分がなぜ遺産の一部を寄付しようと思ったか、その気持ちをメッセージとして書くことができる。これを『付言事項』といいます。なぜその遺贈をしたのか、家族がわかると心情的に納得できることがあります」(樽本さん)
また、相続人の遺産に対する取り分として法律で認められている「遺留分」にも注意すべきだそうだ。
「遺留分を侵害するような遺贈をすると、後にトラブルになってしまうことがある」(樽本)