2020年 1月 18日 (土)

日本の民主主義が捨てられた10・22 政権による「メディアの大虐殺」が始まる

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   正岡子規の「悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事である」という言葉を机の前に貼って眺めている。ジョージ・オーウェルの『1984』を読み返している。

   22日(2017年10月)の夜8時、NHKが「自公で3分の2を占める模様」と開票速報を流して以来、気力が萎えて戻らない。

   その日は昼頃、私の出た小学校にある投票所へ足を運んだ。雨脚は強かったが、いつもより人の数は多かったように見えた。多くは高齢者たちだったが。

   東京の雨は降り続いたが、風はさほど強くなかった。この雨で無党派層と呼ばれる「無関心な連中」が投票に行かなくなり率は下がるだろうが、期日前投票が史上最高だったというから、前回程度はいくのではないか。

   競馬・菊花賞では、私がこの欄で本命に予想したキセキが史上最悪の不良馬場を克服して勝ってくれた。

   選挙結果に希望はないが"奇跡"が起こってくれないかと祈っていた。想像以上の自民党の大勝だった。

   週刊ポストは特集「ニッポン『絶望の近未来年表』」のリードでこう書いている。

「今回の総選挙でこの国に"自民党永久政権"ともいえる政治体制が出現し、有権者が声を上げる機会さえ失われてしまうかもしれない。主権者を恐れなくなった政治家は驕り、役人はますます忖度し、権力はどこまでも腐敗していく」

   翌日の産経新聞はまるで「祝! 安倍首相」特集号のようであった。

   編集局次長兼政治部長の石橋文登は一面で、「首相の強運を生かすとき」だと激励する。

   石橋も、小池の希望の党ができた時、安倍は「さぞ肝を冷やしたことだろう」。反安倍勢力が結集するとどうなるか、「悪夢が首相の脳裏をよぎったに違いない」と書く。だが、小池の自分の政策にイエスといわない者は「排除する」発言で、「首相に幸運の女神がほほ笑んだ」

   産経でさえ「敵失による勝利といえなくもない」といっている。だが、この得た数で、「北朝鮮有事は『対岸の火事』ではすまない。情勢次第では改憲が喫緊の課題となる可能性もある。首相は、自らの強運を信じて国民に発議する機会をうかがうべきではないか」と、運だけで知恵もビジョンもない安倍首相を後押しするのである。

   二面の「主張」はもっと過激である。韓国にいる日本人や米国人を迅速に避難させる「非戦闘員退去活動」や武装難民への対策を早急に講じ、「ミサイル防衛の充実にとどまらず、敵基地攻撃能力の導入や防衛予算の増額への政治決断も求めたい。その中には、覇権主義を強める中国への備えも含まれるべきである」と、まるですぐに戦争が始まるかのような書き方である。

   だが、ため息ばかりついてはいられない。これから安倍政権が始めるのは間違いなく、これまで以上の「メディアへの締め付け」である。

   これまではポチと非・反安倍メディアを選別しているだけだったが、これからは間違いなく、すべてをポチ・メディアにするための「メディアの大虐殺」が始まる。

   政治を私物化してきた安倍だが、森友・加計学園問題で、まだ自分に歯向かうメディアや木っ端役人がいることを知ったはずである。

   こいつらを根絶やしにする。自分が法律だと国会でほえた妖怪は、自分は天皇をも超えた「ニッポンの王」であるといいたいに違いない。

   言論表現の自由など吹き飛び、政権をバカ呼ばわりする夕刊紙や一部の週刊誌は、不敬罪を成立させて獄に放り込まれる。

   私は死ぬまで10月22日という日を忘れない。日本の戦後が忘れ去られ民主主義がぼろ雑巾のごとく捨てられたこの日を。

   前置きが長くなったが、書いておかなくては死ねない。そんな思いが溢れているのでお許しを。

   今週発売の週刊文春も週刊新潮も、選挙特集を組んではいるが、読むべきものはない。私は「私たちが安倍自民党に入れた本当の理由」という対面インタビューを読んでみたい。入れる政党がなかったから自民党だったのか。どういう対立軸ができれば、自民以外の政党に入れようと思うのか。新聞を含めて、選挙後の検証はたいていお粗末だから、ぜひ、どこかでやってほしい。

   テレビ東京・池上彰の選挙特番も、自民の圧勝の前に、いつも見せる池上の鋭い突っ込みは見られず、他の番組と同じ凡庸なものだった。

   印象に残ったのは、インタビューに答える安倍首相の表情が、大勝したにもかかわらず暗く、どこか怯えているように見えたこと。共産党の志位委員長が、自分の党の候補を引っ込めて立憲民主党へ力を貸したことで、自党の当選者を減らしたことについて聞かれ、きっぱりと、立憲民主党が躍進したことを喜び、これから立憲との共闘を進めていくといったことである。

立憲の新人、青山雅幸議員のセクハラ疑惑

   さて、週刊文春が、今回躍進した立憲民主党・枝野幸男代表の盟友が、女性秘書にセクハラを繰り返していたと報じている。

   告発されているのは立憲の新人、青山雅幸議員(55)。青山はB型肝炎訴訟や浜岡原発廃炉訴訟などに携わった人権派弁護士だという。枝野とは東北大学で同じ法律系サークルに所属して以来の友人らしい。

   20代半ばの元秘書・山田麻美(仮名)によれば、昨年4月に青山が代表を務める法律事務所に入所したが、6月ごろから食事に誘われるようになったという。

   多いときは週1ペースで誘われ、タクシーで移動するときに手を握ってくるようになった。

   昨年(2016年)8月、別の秘書らと3人で県北地域に出張した際にも、秘書がいない隙に、「青山先生がハイハイをしながらこちらへ寄ってきた。恐くなったので、近くにあったざぶとんを抱いてガード。頭をなでられた。身の毛がよだつほどの恐怖だった」(山田)

   その後も、抱きしめられたり、食事中に「なんで冷たくするの? 優しくしてよと」と手を握る、エレベーターの中でキスを迫られたなど、エスカレートしていったという。

   週刊文春の直撃に青山は、一連のセクハラ行為を否定し、山田を「彼女は人をハメル人。あのね、ウソをつく人の特徴は一部は事実なの。でもその事実を膨らませるわけよ」と非難し、名誉棄損にもなると仄めかしている。

   彼女は、身の危険を感じて、ノートを付け、メールや音声も残していた(週刊文春デジタルで動画を有料配信中)。青山議員に分が悪そうだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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