2024年 4月 24日 (水)

週刊新潮の新聞広告『昭和天皇』を黒塗り!社内規定に引かかったピンク映画がらみ

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   昨夜(2018年2月28日)、新宿のはずれにあるBar「猫目」で朝日新聞の人間と一緒になった。彼が、あすの週刊新潮の広告はトップが黒塗りになるようですよといった。何かあったの? 昭和天皇のピンク映画というタイトルの昭和天皇のところを、社内の広告規定にひっかかるので、削るか黒塗りにするか新潮社に申し入れ、黒塗りになったそうです。読売新聞や毎日新聞も同じになるようです。映画版「風流夢譚」なのかと思ったが、内容は知らないらしい。

   そういえば、現役編集長のときによく朝日新聞と広告の文言で揉めた。当時は「セックス」がダメで「SEX」ならいいという。なぜなら、英語は子供が読めないから。そんなバカバカしいことを思い出した。

   けさ(3月1日)の朝日新聞の週刊新潮の広告は『昭和天皇』が黒塗りで、「のピンク映画」とある。さっそく読んでみた。簡単に記すと、ピンク映画の老舗「大蔵映画」の子会社で、4大ピンク映画の巨匠の一人といわれる監督が作ったそうだ。あらすじは「モデルがない某国の象徴としての王は、長年神として崇められていたが、敗戦を機に霊長類宣言をし、打ちひしがれた生活苦にあえぐ国民と直にお話をする為に巡行していた」というもの。

   象徴、敗戦、霊長類宣言など、昭和天皇をモデルにしているのは明らかだ。映画の脚本には「朕、人妻と密会す」と記されているそうだ。映画には、マッカーサー風な外人、ローマの休日風のシーンなどがあるという。

   この映画、映倫の審査も通り、試写会まで行われたが、劇場の支配人が「これはマズイだろう」と判断し、延期にして、監督も了承し「申し訳なかった」と謝罪しているそうだ。「大蔵映画」の現社長である大倉満彦氏は、この映画の存在を知らなかったという。

   週刊新潮は戦後作られた「不敬映画」を5本挙げているが、原一男の「ゆきゆきて、神軍」や渡辺謙一の「天皇と軍隊」のような、昭和天皇の戦争責任を問っている良質のドキュメンタリーまで入れているのはおかしい。ピンク映画だからというのではないが、この監督がなぜこれを撮るのかという意図も、問題意識もないキワモノ映画である。これを巻頭で取り上げる週刊新潮側の意図も、私にはわからない。

朝日新聞阪神支局襲撃犯「赤報隊」追い続ける樋田毅記者の執念と無念

   きのうの昼間、「記者襲撃」(岩波書店)を上梓した元朝日新聞記者・樋田毅氏と会っていた。これは、1987年5月3日午後8時15分ごろ、朝日新聞の阪神支局を目出し帽を被った男が散弾銃を持って侵入して、小尻知博記者を射殺し、犬飼兵衛記者に重傷を負わせて逃走した「赤報隊」事件の犯人を、30年にわたって取材し続けた記録である。

   樋田氏は、当時、阪神支局にいたが、当日は体調が悪く、自宅で仕事をしていた。もし支局にいたら、小尻記者ではなく自分が撃たれていたかもしれない。そうしたやりきれない思いがいまも抜けないという。事件直後から、樋田氏を含め、この事件の犯人を追うための専従班が作られた。小尻記者の無念と、言論テロを許してはならないという思いを刻み込み、執念の取材を続ける姿には、朝日新聞の記者魂を見せつけられた。

   犯人は朝日新聞に厳しい批判をしていた新右翼グループか、当時、朝日ジャーナルを中心に「霊感商法」などへの痛烈な批判を繰り広げていた宗教団体の中にいるに違いない。そこまでは絞り込んだ。だがどちらも、朝日新聞記者だと名乗ると敵意をむき出しにし、玄関払いされることもたびたび。

   右翼にシンパシーを持つ公安が取材の邪魔をしたり、朝日新聞の人間なんか殺されて当たり前だといい放つ教団の人間にも臆せず、一人ひとり追い詰めていく。その中で、教団の幹部からカネをもらっている編集委員がいることや、教団の広報の幹部たちと密かに会って、「手打ち」と思われる会食をしていた朝日新聞の幹部たちのことも明らかになる。

   警察が9人に絞り込んだ新右翼の人間には、私がよく知る人物もいるが、犯人を絞り込めず、15年の公訴時効を迎えてしまうのである。樋田氏は「自分の記者人生を賭けた使命」だと思い定めて、時効後も赤報隊を追い続けている。

   私は樋田氏に、これは朝日新聞を辞めなくては書けなかったですねというと、樋田氏は無言で頷いた。30年の執念と無念がぎっしり詰まった、いま読んでおくべき良質なノンフィクションである。

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