2024年 4月 25日 (木)

部下のセクハラ被害握りつぶしたテレ朝上司の不適切!財務省の嫌がらせが怖かった?

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   週刊誌の持っているパワーを見せつけた1週間だった。週刊新潮がスクープした福田淳一財務事務次官(58)のセクハラ発言報道を、本人は当初、すべてを真っ向から否定していた。すると、週刊新潮は待ってましたとばかりに、福田と女性記者とのやりとりの音源を、女性記者の発言部分だけを消して公表したのだ。

   これで彼の進退は窮まったと誰もが思ったのだが、財務省は16日(2018年4月)、福田から聞き取りをしたとして、「女性が接客をする店では、女性と言葉遊びを楽しむようなことはあるが、女性記者とそんなやりとりをしたことはない」と、あたかも情報源がでっち上げたのではないかといいたげな「聴取結果」を発表し、福田本人は新潮社に対して訴訟を準備していると、逆に恫喝してきたのである。

   さらに、財務省は同省の記者クラブに加盟している各社に対して、「セクハラ被害に遭った記者は名乗り出てほしい」と呼びかけた。今週の週刊新潮で政治部デスクがいっているように、<「財務省は、手をあげることなんてないだろうと高を括っているのです」>

   麻生財務相も、発言が事実ならアウトだがといいながら、優秀な福田次官を更迭する考えはないといい切った。だが、同じ16日付の産経新聞朝刊は「福田財務次官 更迭へ」と1面で報じていたのだ。

   週刊文春がこの間の事情をこう解説している。当初、福田次官を買っていた安倍首相も、週刊新潮の記事を読んで、「"安倍晋三は面白いけど、税はどうしようもない。キスしたい"って、支離滅裂だ。ほんとにくだらない会話をして、許せないね。もう麻生さんに任せるよ」と突き放したという。

   安倍は更迭する考えだったから、産経がスクープできたのだが、麻生と財務省は、森友学園の文書改竄問題についての調査が出れば、誰かに責任を取らせる必要がある、それには任期が迫っている福田を辞めさせるのが得策だといい募り、官邸も渋々承知したというのである。

   週刊文春をさすがだと思うのは、この取材時点で、週刊新潮の情報源は財務省担当記者だとして、<「福田氏がお気に入りだったのが、フジテレビとテレビ朝日の女性記者。(中略)ただ、音源の出元については『酔っぱらって覚えていないんだよ』とボヤきつつ、『フジは違う』と言ってました」>とし、<最終的に福田氏は、上司の麻生氏や官邸の杉田氏に、テレ朝の女性記者の名前を挙げた>(週刊文春)と、特定しているのだ。

   そして4月18日、突如、福田次官は「辞任する」といい出すのである。

   財務次官が引責辞任するのは1998年の旧大蔵省時代の「ノーパンしゃぶしゃぶ接待汚職事件」以来、20年ぶりだという。

女性記者はやむにやまれず週刊新潮に録音提供

   さらに事態は動いた。19日未明にテレビ朝日が緊急会見を開き、週刊新潮へ音源を持ち込んだのは自社の女性記者であると発表したのである。この女性記者は以前、福田次官からセクハラ被害を受けていると上司に相談していたが、本人が特定されることで2次被害のおそれがあることなどを理由に、「報道は難しい」といわれていたそうだ。

   そのため、女性記者は「セクハラ被害が黙認され続けてしまうのではないか」という思いから週刊新潮編集部に連絡して取材を受け、録音した一部も提供したそうだ。テレビ朝日の報道局長は、取材活動で得た情報を第三者に渡したことについて、「報道機関として不適切な行為であり、当社として遺憾に思っている」といったが、これは建前であろう。

   週刊新潮が今週号の「『なぜ自社で報道できないのか』の疑問に答える」の中で、<「セクハラに反発したりすれば、その女性記者が所属する社は財務省から嫌がらせをされて"特オチ"が待っている。そうなると同僚にも迷惑がかかります」(財務省を担当するデスク)>と書いているように、特オチすれば地方の支局へ飛ばされることもあるからだ。自社の社員が取材先からセクハラを受けているのに、何もできなかった彼女の上司たちこそ、報道機関にいる人間として「不適切」だといわざるを得ない。

   週刊文春のように、多くのメディアはこの女性記者がテレビ朝日の人間だとわかっていたに違いない。福田が週刊新潮の報道を全否定していた時点で、テレビ朝日側がこのことを公表していれば、福田は2度と世間に顔向けができないほどの大恥をかいて、辞任に追い込まれたはずである。

   ところで、なぜ彼女は週刊文春ではなく週刊新潮へこのネタを持ち込んだのだろう。週刊新潮に知り合いがいたとすればわかるが、そうでないとすれば、女性読者が半数を占めるという週刊文春のほうが、セクハラには敏感だと思うのだが。

   私なりに考えてみると、週刊新潮を選んだ理由は3つあると思う。テレビ朝日は朝日新聞系列であるから、長年、朝日批判を売り物にしている週刊文春は嫌だったのではないか。週刊新潮はしばらく前に、元TBSワシントン支局長にレイプされたと顔と実名を出して訴えている伊藤詩織のことを大きく取り上げている。いま一つは、この頃は安倍首相批判もやっている週刊文春だが、先の元TBSワシントン支局長を最初に起用したのも週刊文春だし、編集長も常々、安倍首相とは親しいと公言しているから、情報が流れることを危惧したのではないか。

   福田次官更迭で麻生財務相の辞任も避けられないだろう。20年前の、ノーパンしゃぶしゃぶ事件では、大蔵省が解体された。今回、財務省はどうなるのだろうか。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中