2020年 9月 27日 (日)

「出馬したいのでよろしく」「しっかりやれ、応援するぞ」安倍辞任の翌日、菅・二階会談で流れは決まった。派閥の有力議員らが明かす総裁選の内幕と思惑

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   9月14日に自民党の新総裁に決まり、15日に党役員人事を行った菅義偉官房長官は、明日16日の臨時国会での首相指名選挙を経て新総理に就任する。自民党では異例となる無派閥の総裁誕生の裏で、各派閥はどう動いたのか。今回の総裁選挙の構図を決定づけた局面に立ち会っていた派閥の幹部たちが、"菅支持"に舵を切った内幕と、知られざる思惑を初めて証言した。

   菅新総裁の初当選は1996年。当初は派閥に属していたが、2009年の総裁選で他派閥の候補を支援するために派閥を離脱して以来、派閥政治からの脱却を掲げてきた。その菅氏が臨んだ今回の総裁選で、陣営を支えたのは党内の有力派閥だった。

   いち早く支持を表明したのは二階俊博幹事長率いる二階派(47人)だった。二階氏は夏ごろから菅官房長官と頻繁に面会を繰り返していた。その場にいたのは二階氏側近の林幹雄衆院議員だった。二階氏は菅氏を「ポスト安倍」の有力候補とみていたと林議員は言う。会談が行われたのは赤坂議員宿舎。菅氏、二階氏、森山氏、林氏の4人で、夜8時から20分ほどの会談だった。

   「安倍総理が辞任表明した翌日、菅官房長官が森山裕国対委員長を通じて二階氏にアプローチしてきた。二階さんも即座にOKした。時期が時期だけにピンと来たのではないか。菅さんは総裁選に出馬したいのでよろしくと。二階さんは、しっかりやれ、頑張れ、応援するぞと」(林議員)

岸田氏が期待していた麻生氏は「安倍総理の意向」が条件だった

   菅氏圧勝の流れをつくったのは、岸田文雄氏が支援を期待していた麻生太郎副総理率いる麻生派(54人)だった。麻生氏はこれまで、同じ派閥の系譜にある岸田政調会長を「将来を担う優良な人材」と期待していた。ところが、安倍総理辞任を受けて開かれた麻生派幹部の会合で、岸田支持が打ち出されることはなかった。実は麻生氏は、新型コロナ給付金の対応をめぐって岸田氏の手腕に疑問を感じるようになっていた。麻生氏側近の松本純衆院議員は「麻生さんは誰を支援するかというさまざまな意見に耳を傾け、今日は白紙。判断は自分に一任してくれと言った」という。

   岸田氏が麻生氏に協力を求めたのは、総理の辞任表明の2日後。麻生氏は「安倍総理が支援するなら自分も支援できる。安倍総理の意向を確認してほしい」と条件を突き付けたという。その翌日、岸田氏は総理と面会したが、支援を取り付けるまでには至らなかった。安倍後継に活路を見出していた岸田氏の戦略が崩れた瞬間だった。麻生派も菅氏支持を決定した。

   こうした中で注目が集まっていたのが、安倍総理の出身派閥で党内最大の細田派(98人)の動向だった。派内で独自の候補者を出すべきか、他の派閥候補の支援に回るべきか意見が割れていた。立候補を模索していた細田派・稲田朋美衆院議員は、派閥の枠を超えて支援を広げようと考えていた。安倍総理大臣の辞任表明から3日後、自身の立候補について安倍総理に直接相談したが、「あまり焦らず一歩一歩頑張っていけばいいよ、というようなアドバイスはあった」と言う。

   同じ細田派で安倍総理大臣と定期的に面会した高鳥修一衆院議員は、「もし総理が"岸田さんやってよ"とおっしゃっていれば、全力で応援したと思う。総理は、政権の継続性と危機対応を考えると菅官房長官の安定性と考えたのではないか」と推し量った。

   これで、安倍総理の辞任表明から5日後には、主要3派閥の領袖が揃って菅氏の支持を表明したことになった。選挙の大勢は決してしまったといっていい。

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