「市民を標的にした4つの殺傷事件で殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団『工藤会』のトップに死刑判決が言い渡されました。指定暴力団のトップに死刑が言い渡されるのは極めて異例なことです」と司会の羽鳥慎一が伝えた。
元漁協組合長射殺など4事件
きのう(2021年8月24日)、福岡地裁で死刑判決が言い渡されたのはその工藤会の総裁としてトップに君臨している野村悟被告(74)だ。ナンバー2の田上不美夫(65)には無期懲役が言い渡された。両被告は1998年に北九州市で元漁協組合長が射殺された事件など市民が狙われた4つの事件について、実行役に犯行を指示したとされ、殺人と組織犯罪処罰法違反の罪に問われていた。
今回の判決について元検事で弁護士の若狭勝さんは「これまでの死刑判決は亡くなった被害者が複数いることが原則。今回の判決は画期的で非常にまれなケースです。死刑判決になったのは、一般市民を襲撃した悪質な犯行だったことが大きい。市民の影響を鑑み、防御の意味で大きく踏み込んだ判決となった」と評価。
さらに今後の暴力団捜査への影響について「日本における暴力団裁判の転換期。これまでトップが指示によって立件されることはほとんどなく、責任追及には大きな壁があった。今後は暴力団捜査に勢いがつき、トップへの責任追及が加速すると思う」と話した。
羽鳥「直接的にトップが指示したという証拠がない中で、裁判所が認めたというところが画期的な判決だったと思います」
羽鳥慎一「もう1つのポイントは...」
浜田敬子(ジャーナリスト)「暴力団という組織の特異性は、上の人の罪を身代わりして服役したり、全容を話さなかったりすること。構造的な問題で立件が難しかった。今回、こういった形の判決が下されたことは、暴力団の犯罪に限らず、組織的な犯罪に対しても影響が大きいと思います」
羽鳥「もう1つのポイントは、問われた4つの事件で殺害されたのは1人なのに判決は死刑だったことです」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「よく言われる永山基準(死刑を適用する際の判断基準)で、1番大きいのは殺害された人数なんですよね。1人の場合、あまり死刑判決は出ない。でも、基準の中には『社会的な影響』というのもあって、今回の場合はそれをかなり考えたのではないか」
野村被告の弁護人は控訴する方針だ。
(ピノコ)