2024年 4月 25日 (木)

物理化学に「萌え本」登場 苦手な人にもわかりやすい

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   アニメやゲームにみられる美少女キャラクター、いわゆる「萌え」キャラ。最近では物理や化学の書籍にもそうしたイラストが描かれ、売れ行きも好調という。親しみやすいイラストで、わかりやすさを狙ったもので、若い世代の理系離れにも一役買いそう?

「水素」は妖精、「フッ素」は勝ち気そうな女の子

「量子論」を解説した漫画「『ねこ耳少女の』量子論~萌える最新物理学~」
「量子論」を解説した漫画「『ねこ耳少女の』量子論~萌える最新物理学~」

   PHP研究所が2008年11月に発売した「元素周期 萌えて覚える化学の基本」。118ある元素を解説した本だ。A5判見開き1ページで、1つの元素を解説する。左のページには、擬人化した元素のイラストを配置した。

   そのイラストは、ゲームのキャラクターを思わせる女の子の「萌えキャラ」だ。たとえば、原子番号1番「水素」は妖精をイメージした。また、「フッ素」のキャラは勝ち気そうな顔立ちの女の子がフライパンを手にしているし、「マグネシウム」のキャラはクールにライフルをたずさえている。いずれにしろ、従来の参考書のイメージとは全く違う、ユニークなものだ。

   そして、右ページには「元素」に関するデータを掲載しており、発見年や発見者の情報などを並べた。元素のイメージを大まかにつかむには、便利そうな1冊だ。発売以来、4万部を売り上げた。コミック出版部の編集担当者・伊丹祐喜さんによると、購入者は男女比で6:4。最近では中高生やその両親が購入し、大学の購買でも平積みされるなど売れ行きは好調だという。

「元素記号を関連づけ、印象づけで覚えるには便利な本だと思います。学習を始めるには、楽しんで入ることが大事。一度イメージをつかんでから難しい本に入ると、理解度も増すのではないでしょうか。また、若い人の理系離れも言われていますから、勉強のきっかけになれば嬉しいと思います」

   なお、同書を監修した満田深雪先生は、自身が受け持つ高校の授業などで利用したいと意気込んでいるそうだ。今後、同書が広く副教材になる可能性もありそうだ。

最もタイムリーな話題「量子論」

   そんな中、物理学では旬な話題となっている「量子論」を萌えキャラが易しく解説した本も出た。

   PHP研究所が2009年2月に売り出した漫画「『ねこ耳少女の』量子論~萌える最新物理学~」だ。ねこ耳のついた女の子キャラクター「あいりちゃん」が、「量子論」を解説していく。同時に、主人公との恋愛模様がストーリーには織り込まれている。

   「量子論」とは、2008年ノーベル物理学賞の受賞時に話題となったキーワードだ。受賞者の小林誠さん、益川敏英さん、南部陽一郎さんらは「素粒子論」の研究を手がけた。「素粒子論」の理解には「量子」との関係を知る必要がある。

「話題になった『素粒子論』ですが、それは一体なんなのか、どういうことなのか、何がすごいのか――疑問に思った人も多いはずです。物理学ではもっともタイムリーな話題の1つだったので、著者の竹内薫さんとともに企画しました。『萌え』キャラを起用したのは、勉強が苦手な人でも最後まで読み終えられるようにするため。専門用語も、できるだけかみ砕いています」

   こう話すのは、コミック出版部の編集担当者・前田眞宜さん。こういった話題性が功を奏し、発売開始2か月間で4万5000部を売り上げる好調ぶりだそうだ。ちなみに、ネット通販サイト「アマゾン」のブックレビューにも、

「萌え系学術書としてはかなり質が高く、文句を付けがたい仕上がり」
「この本をきっかけとして、物理や科学も面白そうだからとこれまでは立ち寄らなかった科学書のコーナーに足を運ぶ人がきっとでてくるだろう」
「高校で物理や化学を勉強してる人に是非読んでほしい。表紙その他で変な先入観を持たれやすいかもしれませんが内容はしっかりしています」

   などと好意的な書き込みが目立つ。

   PHP研究所では今後、漫画やアニメキャラクターなどのビジュアルを駆使した学術書の発刊にも力を入れていきたい、と話している。

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