相続税の増税が急浮上 払う人ぐんと増える?

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   相続税制度の見直しが浮上してきた。現行の仕組みでは、相続税を払うのは100人に4人程度にとどまるため、税収を上げるために「広く薄く」徴収するという。民主党議員からは増税の具体案も飛び出し、2011年度には法律改正されそうな情勢だ。

   相続税は2003年1月に改正し、最高税率を70%から50%に引き下げるとともに税率区分を広げた。その後、自民党政権下でも見直しが検討されたが、景気の低迷で見送られてきた経緯がある。しかし、国の税収不足が深刻なこともあって、民主党は「格差是正」の観点から相続税を見直す方針だ。

「一定額以上の遺産は社会に還元すべき」

見直しは混乱必至。相続税を払う人は増えるのか?
見直しは混乱必至。相続税を払う人は増えるのか?

   税収の落ち込みは深刻だ。財務省によると、1月までの2009年度の一般会計税収の累計は前同月に比べて19.8%減の23兆7015億円だった。法人税や所得税、消費税もデフレや給与収入の落ち込みで減っている。

   仙谷由人行政刷新相は09年末に「財源不足に陥った場合には、増税もあり得る」と発言。菅直人財務相も消費税の見直しについて言及するなど、「財源」を模索しはじめた。

   そこで目を付けたのが、課税件数があまりに少ない相続税だ。

   バブル期の地価高騰に伴い課税対象者が急増したため、基礎控除の引き上げなどがされた。その後、バブルは崩壊したものの、変更はされていない。基礎控除の5000万円に相続人一人あたり1000万円までの非課税措置があり、相続人が5人いれば、1億円の遺産があっても非課税扱いになって、税収に結びつかない。

   こうした中、民主党の中川正春衆院議員が経済誌「ZAITEN」(4月号)のインタビューで、「寄付を促す制度設計で相続税を抜本改革する」と語った。

   民主党には、「一定額以上の財産を遺せた人は社会の恩恵があったからであり、亡くなるときにはその一部を社会に還元してもいいのではないか」との考え方がある、という。

   この考え方に基づいた課税方式が「遺産課税方式」。現行は相続人が納税対象者であり、平等に遺産を分けるので税の負担は減る仕組みだが、遺産課税方式は「遺産」そのものを基準に課税する仕組みだ。

   「遺産」を基準に課税すれば相続税の算出も容易で、さらに基礎控除を引き下げれば、民主党の狙いどおり相続税の納税者は増える。

   この方式が法改正に盛り込まれるかどうかははっきりしない。ただ、現状では基礎控除や配偶者の税額軽減、生命保険の非課税枠の措置などの特例があり、ファイナンシャルプランナーの松浦建二氏は、「こういった特例の扱いがどのようになるかで税負担の結果はまったく異なります」と話す。

節税している人は借金を背負うことに?

   懸念されるのは、いま実施している節税対策が大きな影響を受けることだ。たとえば、生命保険の非課税枠の扱いが廃止されるにしても、すべて廃止されるのか、契約日によって有効になるものと無効なものに分かれるのか、といったことが起こる。つまり、節税対策がなんの役にも立たなくなってしまう可能性があるのだ。それどころか、借金をすることが相続税対策につながると思っている人は少なくないから、借り入れまでして生命保険に加入したような人は、結果的に借金を負わされることになる。

   松浦氏は、「さすがに全廃となると相当非難を浴びるでしょうから、非課税枠は現状を維持するなど、(そういった人が出ないように)なんらかの形で節税できるような措置はとるでしょう」とみている。

   中小企業向けの優遇措置も廃止される可能性がある。また、不動産など処分しなければお金にならない遺産を譲り受けたサラリーマン世帯は、相続税を払うために住んでいる家を売ることになるかもしれない。

   相続税の見直しは贈与税など他の税制にも波及するだけに、実施されれば相当な混乱に陥るのは必至だ。

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