「出産事故による脳性まひ」に備える 「産科医療補償制度」発足3年、概況報告

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   出産時の事故により、脳の酸素不足が続いて、後遺症の脳性まひになる子どもがいる。その家族の経済的な負担を補償する「産科医療補償制度」が2009年1月から始まり、満 3年を経過した。2012年 4月20日、日本科学ジャーナリスト会議の例会で岡井崇・昭和大学医学部教授 (産婦人科) が制度の現況や事故原因などを報告した。

過失の有無とは無関係に補償

   制度は財団法人・日本医療機能評価機構が運営している。出産時の事故が原因であれば、病院や診療所、助産所の過失の有無には関係なく、重性脳性まひ児(身体障害1、2 級)に一時金 600万円とその後20年間120万円ずつの計3000万円が支払われる。

   原資は健康保険からの出産一時金のうち 1件 3万円が充てられる。先天性の病気や低出生体重による脳性まひは除かれる。岡井さんは、事故をできるだけ減らしていく目的で置かれている第三者機関の原因分析委員会委員長だ。

   分析が終わると、委員会は医療機関と家族に「原因分析報告書」を送っている。

   岡井さんはこれまでに分析できた2011年6月1日までの分、35件を例に概況を解説した。妊娠中に脳性まひになったのは 7件で、出産時が28件だった。臍帯異常や子宮内の感染、胎盤剥離など原因はいろいろだが、胎児心拍数のモニターの不十分が22件、子宮収縮薬に問題あり12件、新生児蘇生法に問題あり14件で、事故を減らすための方向が示された。

   原因分析は医療機関のカルテにもとづいているが、医療界にはこれが医療機関に対する私的裁判的で、訴訟を増やす可能性があるとの反発がある。岡井さんは、報告書の内容に関して9割の医療機関が納得し、4分の3が、原因分析が行われたことを「とてもよかった」「まあまあよかった」と答えたことを明らかにした。また、2011年末までの補償対象252件のうち、損害賠償請求訴訟は5件、交渉中5件、証拠保全手続き8件で、訴訟の可能性があるのは計18件 (7.1 %) だった。

   岡井さんは社会補償制度として確立しているスウェーデンの例にも言及し、日本のこの制度で「脳性まひの発生が減り、訴訟も減ってほしい」との期待を強調した。

 

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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