「ただちに影響ない」信じられるか 中国からの有害汚染物質に不安広がる

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   中国から飛来する有害な大気汚染物質への警戒感が、西日本を中心に全国各地で強まっている。

   「中国・有害濃霧拡大、九州流入 厳戒態勢」「西日本に不安 物質濃度が急上昇」――。2013年1月以降すでに数日間、近畿や四国、九州各地で環境基準値を超えた日があることから、新聞各紙はこうした見出しで隣国からの有害物質への監視を呼びかけている。

北京の有害物質濃度は基準値の25倍以上

   中国を覆う大気汚染物質の中で、特に問題視されているのは車や工場の排ガスなどに含まれる「PM2.5」と呼ばれる微小粒子状物質だ。大きさは直径2.5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下とされ、スギやヒノキの花粉の直径約30マイクロメートルと比べてもはるかに小さい。

   吸い込むと肺の奥や血管まで入り込みやすく、ぜんそくや肺がん、不整脈、心筋梗塞など呼吸器・循環器疾患のリスクを高めると指摘されている。

   この有害物質について、日本の環境基本法が定める環境基準値は1日平均で大気1立方メートルあたり35マイクログラムである。一方、新聞各紙によると、13年1月の測定で日本の基準値の25倍以上の900マイクログラムを記録する北京市内では、「ここ10年で肺がん患者が60%増加したとの統計が示されている」という。

   そして、健康被害をもたらすこの恐るべき物質は西からの風に乗って、中国からすでに流入しているのだ。福岡市内では1月中に3日間基準値を超え、近畿の一部地点も1月中旬などに基準値を上回った。四国の一部でも1月中に4日間基準値を超える日を記録し、中国地方でも同様の傾向が出ている。

   13年に入ってからの基準値超えのレベルは最大で63マイクログラム(1月13日、大阪・枚方市)。加藤勝信官房副長官は1月31日の記者会見で「現時点でただちに影響があるレベルではない」と冷静な対応を呼びかけ、環境省による継続調査を明言した。

   とはいえ、中国大陸に近い福岡県民らの危機感は高まるばかりだ。家電販売大手のベスト電器(本社・福岡市)によると「PM2.5への警戒感から空気清浄機に関するお客様からの問い合わせが増えている」という。県は2月5日からPM2.5の測定ポイントを新たに10か所増やして計21か所でチェックし、ホームページ上に掲載している。

「防塵マスクがなければ外出するな」

   一方、「PM2.5」に関して政府が繰り返す「ただちに影響はない」という文言はどこまで信じていいのか。

   「現在の基準値超えのレベルであれば、普通の健康状態の人なら『ただちに影響はない』と言えます。ただ、基準値を上回る状態が何日も続くようであれば警戒が必要な場面も」と話すのは福岡県保健環境研究所の黒川陽一環境科学部長。

   九州大学応用力学研究所の竹村俊彦准教授は、2月5日発売の週刊朝日2月15日号に「日本まで届く濃度であれば私も『ただちに問題はない』と思います」とコメントした上で、「ただし、これには『成人の健康体であれば』という前提がつき、循環器系や呼吸器系に疾患がある人は影響がないと断定できない」と指摘する。マスクについては「医療用マスクか工事現場用の防塵マスクでないと効果がない」とし、「手に入らない場合は(影響を懸念する人は)外出を控えるしかない」と訴えている。

   PM2.5については、偏西風の影響で3月以降さらに日本への飛来が深刻化するとの見方もある。これについて国立環境研究所の菅田誠治主任研究員は「風の流れという面では春の気圧配置になれば今以上に中国から運ばれやすくはなりますが、3月以降は寒さも和らぎ中国国内の石炭使用も減ってPM2.5の発生自体は少なくなります」と述べ、「春以降は毎年のように黄砂や光化学オキシダントなどが中国からの流入の主体になるのでは」と話している。

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