花粉症の元凶「スギ」 「すべて伐採」なぜしないのか

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   花粉症のシーズンが続いている。今年は花粉の飛散量が2012年より多く、ピークを越えつつあるがまだ悩まされる日が続きそうだ。

   春のスギ、ヒノキの花粉飛散量は、10年前と比べて倍増したともいわれる。いまや「国民病」になりつつある花粉症で、抜本的な解決を図るうえでひとつの素朴な疑問が浮かぶ。「なぜ花粉を飛ばすスギをすべて伐採しないのか」。

伐採やその後の植林にもコストがかかる

花粉の少ないスギへの植え替えは進むか
花粉の少ないスギへの植え替えは進むか

   林野庁の統計によると、2007年3月31日時点で国内の森林面積のうち人工林が41%を占め、そのうち18%、面積にして450万ヘクタールがスギだ。ヒノキも10%にあたる260万ヘクタールにのぼる。これが現時点で最新のデータのため、その後の面積の増減は分からない。

   林野庁研究・保全課に「国内のスギ林を一気に伐採できないのか」と聞いてみた。担当者によると、スギ林には土砂崩れのような災害対策に加えて、他の樹木より二酸化炭素の吸収量が多いため地球温暖化防止の役割も担っているという。「林齢」が50年までは、スギの二酸化炭素吸収力はヒノキやカラマツ、クヌギと比べて相当優れている。国としては公益性の面から、スギを「ゼロ」にするわけにはいかないようだ。そこで、花粉の少ないスギや広葉樹への植え替えを進めていると説明する。山林の所有者に補助金を支給して、協力を促すというのだ。

   実はこの対策、本格的にスタートしてからそれほど時間がたっていない。研究・保全課によると、花粉の少ないスギの品種が開発されたのが1996年で、苗木の生産が始まったのは99年だ。少しずつ新種への「入れ替え」を進めているとはいえ、450万ヘクタール分をまかなうまでには至っていない。

   そもそもスギやヒノキがこれほど増えたのは、戦後の植林事業によるところが大きい。だが、国内の木材価格の低迷により林業従事者は採算上厳しい立場に置かれた。木材は高値で売れず、伐採やその後の植林にもコストがかかるため、放置された挙句に花粉を増大させているスギは少なくない。

   このため林野庁では、学校をはじめ公共施設に国産木材を使用したり、家の新築の際に国産木材を使ったら補助金を出したりして需要を喚起して「買い手」を増やす。林業関係者に対してスギを切って出荷する意欲を高めるねらいのようだ。

間伐を進め、枝打ちして花粉発生量を抑える

   自治体レベルでも、花粉対策として森林整備に乗り出しているケースがある。

   東京都の場合、森林面積全体のスギ・ヒノキが占める割合は40%に上る。2010年度版「東京の森林・林業」(東京都産業労働局)によると、森林の約7割が西部の多摩地域にあり、人工林は約3万ヘクタールだ。都では2002年、木材の価格下落で手入れが行われず荒廃が進んでいる人工林を対象に、「森林再生事業」を始めた。森林所有者と25年間の協定を結び、都が全額を負担して間伐を進めてスギやヒノキを減らすのと同時に広葉樹が増える環境を整えるのが目的だ。

   さらに2006年からは10年間の計画で「花粉発生源対策」をスタート。間伐した後、残った木々を枝打ちして花粉発生量を抑え、花粉の少ないスギを植林する。都環境局に取材すると、2012年度までに間伐した人工林の面積は5700ヘクタール、枝打ちしたのは900ヘクタール分に達したと話した。

   都環境局では、都内の花粉飛散量とスギやヒノキの間伐や枝打ちの実績との因果関係を調査していないとのことで、現時点でどこまで効果が表れているかは分からない。全国的にみても、3月19日付のウェザーニューズ社の調査では今シーズン花粉症の症状が例年より重いと答えた人が全体の43.3%に上ったという。都道府県別で東京は8位となった。徐々に対策は進んでいるが、花粉を一掃する「特効薬」とまではいかない。効果を実感できるまでしばらくは我慢の時が続きそうだ。

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