母なる川にサケ戻る【岩手・大槌町から】(18)

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今年も戻ってきて自然産卵を試みるサケたち=2013年10月27日、大槌川
今年も戻ってきて自然産卵を試みるサケたち=2013年10月27日、大槌川

   大槌町はサケとともに発展してきた。「新巻鮭」発祥の地として知られ、秋サケ定置網漁が町の漁業を支えてきた。そのサケが、今年も、秋の深まりとともに、大槌川に戻ってきた。生まれた川から海に出たサケは、北太平洋を泳ぎ続け、4年から5年かけて戻ってくるわけだから、今年戻ってきたサケは震災前に放流されたサケたちになる。


   サケは、なぜ、故郷の川を忘れずに戻ってくるのだろう。河川のにおいを覚えている「嗅覚回帰説」、太陽の位置で進路を決める「太陽コンパス説」など、諸説あるが、はっきりしたことはわからない。裏付けられたのは、津波で、大槌湾や大槌川の自然環境が大きく変わったにもかかわらず、母なる川に戻るという帰巣本能のすごさだ。


   自給自足の生活の中にあったサケを商品化したのが大槌城主の大槌孫八郎だった。孫八郎は1603(慶長8)年、江戸の徳川幕府開府を好機ととらえた。東北地方にとって、京都、大阪よりも近くに大市場ができたことになる。商船を仕立て、塩蔵し、新巻にしたサケを江戸に送った。その姿、形から「南部鼻曲り鮭」と呼ばれて江戸の人々に珍重されたという。


昨シーズンに2年ぶりに再開された秋サケ定位網漁=2012年11月14日、大槌湾
昨シーズンに2年ぶりに再開された秋サケ定位網漁=2012年11月14日、大槌湾

   震災前、大槌町の定置網漁の漁場は4か所あった。漁場は、がれきで荒らされたり、網が流されたりして、昨年、復活したのは沖野島漁場1か所だった。沖野島漁場の定置網は深さ70メートル、総延長1キロを超え、三陸沿岸で有数の規模を誇る。昨年9月、震災後、初の本格的な定置網漁に同行、取材した。11月にも定置網漁船に同乗した。

   秋サケの漁獲量は30分程度の短時間の網起こしで決まる。バランスを取りながら慎重に網を引き寄せないと、一網打尽にはできない。瞬時の判断や動作の遅れが漁獲量に影響する。「早く引け、早く引け」「ゆるめろ、ゆるめろ」。漁を指揮する大謀(だいぼう)の小石道夫さん(62)の怒声が甲板に響いた。小石さんは「漁場は戦場。沖では鬼になる」と話した。


定置網から魚をすくい上げて船倉に移す漁師たち=2012年9月5日、大槌湾
定置網から魚をすくい上げて船倉に移す漁師たち=2012年9月5日、大槌湾

   震災がきっかけで破たんした旧漁協を引き継いだ新漁協に、今年、最新鋭の定置網漁船が2隻、寄贈された。横浜市瀬谷区の住民の募金による「瀬谷丸」と、公益財団法人による「第一久美愛丸」。定置網漁場は沖野島、野島に加え、長越漁場の復旧が急がれている。


   漁の環境は整いつつある。問題は震災前のように、サケが戻ってきてくれるのかどうか。岩手県は10月20日現在の漁獲量を、前年度同期比で79パーセント増と発表した。


   町も、漁協も、支援する人たちも大きな期待を寄せる秋サケ定置網漁は、いよいよ11月に入って最盛期を迎える。

(大槌町総合政策課・但木汎)


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