2024年 4月 24日 (水)

家電・薄型テレビ市場の2014年を占う(1)
期待の「4Kテレビ」平均単価を押し上げに寄与、課題はコンテンツ GfKジャパン・山形雄策さんに聞く

   薄型テレビ市場が復調の兆しをみせている。なかでも最近は大型で高画質の「4Kテレビ」が売れてきた。2014年は、ソチ冬季五輪やサッカーW杯ブラジル大会というビッグイベントが控えている。

   家電量販店などを通じて市場調査を行っているジーエフケーマーケティングサービスジャパン(GfKジャパン)のアナリスト、山形雄策氏に最近好調な「4Kテレビ」への期待度を聞いた。

「大画面で高精細の映像を楽しめる」

薄型テレビ市場は2013年が「底」という、GfKジャパンの山形氏
薄型テレビ市場は2013年が「底」という、GfKジャパンの山形氏

―― 2013年の薄型テレビ市場を振り返ってください。

山形 2013年11月の薄型テレビ販売は、数量ベースでは前年に比べて12%減とマイナス成長が続いていますが、金額ベースでは8%増とプラスに転じました。その要因は、50インチ以上の大画面テレビや4Kテレビの販売が拡大したことで、薄型テレビの平均価格が上昇したためです。金額ベースで、前年比がプラスになったのはアナログ放送が停波した2011年7月以来、28か月ぶりのことになります。

   12月の集計はこれからですが、薄型テレビの販売台数を2013年通年でみると、アナログ停波による反動減が大きかった2012年よりは戻ってきましたが、それでも200万台減の620万台にとどまります。しかし、これを「底」に、回復に転じるとみています。

―― エコポイント制度の終了やアナログ停波による買い替えの反動減は、家電メーカーの屋台骨を揺るがす事態になりました。

山形 現在、国内には約1億台のテレビがあります。本来、薄型テレビの寿命は約7年といわれます。「壊れてきたら買い替える」というのが通常の消費行動ですが、それがアナログ停波によって「テレビが見られなくなる」といった、半ば切羽詰った感じで、非常に多くの人が買い替えたのですから、その反動はかつてないほど大きくなるのも当然です。

   ただ、直近は50インチや55インチといった大画面テレビが売れています。「4K テレビ」も、その一つ。高価ですが大画面で高精細の映像を楽しめると好評で、平均単価の押し上げに寄与しています。

―― 4Kテレビはなぜ売れているのでしょう。

山形 やはり大画面、高画質であることです。たとえば、最近の一眼レフカメラで写した写真は約2000万画素あります。これをテレビに映したとき、200万画素のフルハイビジョンテレビに対して、4Kテレビなら800万画素ですから、現在の薄型テレビの4倍きれいに見ることができるわけです。

   4Kテレビは放送コンテンツを楽しむだけでなく、細部もきれいに見えて、迫力のあるスライドショーなどを楽しむのにもいいわけです。

   家電量販店では、家電メーカーがサンプルを用意して、実際に画質のよさを体験してもらうなどして販売にあたっているケースが多くみられます。

―― 4Kテレビが売れるきっかけには、何があったのでしょうか――。

山形 製品の品揃えが充実し、価格も下がってきたことがあげられます。2013年はソニー、東芝が6月に、1インチ1万円を切るような製品を打ち出し、シャープも4K 対応の新商品を投入するなど、夏の商戦をにぎわしました。パナソニックも秋に4Kテレビを発売し、大手家電メーカーが出そろいましたから、消費者も選択の幅が広がりました。

   また家電量販店は売り場面積を広げています。こうした動きが着実にムードを盛り上げていきます。加えて、景気回復もこうした製品の購入を後押ししているといえるでしょう。

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