2024年 4月 27日 (土)

舞の海の「外国人力士に対する排外発言」報道に疑問  講演動画見て「正反対だった」の声相次ぐ

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   元大相撲力士の舞の海秀平氏が「排外発言」を行ったという報道に、インターネット上で続々と疑問の声が上がっている。

   「週刊金曜日ニュース」は2014年5月22日、「"昭和天皇万歳"集会で――舞の海氏が排外発言」と題した記事を公開したのだが、実際の講演動画をみてみると、「排外発言」とはとても言い難い内容だったというのだ。

「会場は排外主義的空気が顕著に」?

   舞の海氏は、4月29日に東京・明治神宮会館で開催された「昭和の日をお祝いする集い」に出席し、「昭和天皇と大相撲」をテーマにした記念講演を行った。週刊金曜日の記事によると、舞の海氏は講演の中で、

「外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる」
「天覧相撲の再開が必要だ。日本に天皇がいたからこそ、大相撲は生き延びてこられた。天皇という大きな懐の中で生かされていると感じる。皇室の安泰を」

などと語ったという。外国人力士について言及した後には、会場から拍手が起こり、「"日の丸"旗を手にした男性が『頑張れよ』と叫び、会場は排外主義的空気が顕著になった」と伝えている。

   この報道はネット上で話題になり、舞の海氏に対しては、

「なんとも愚かな発言だ」
「こんな愚かな解説者だったのか、知らなかった。見識を疑う」
「舞の海って思ってたよりもずっと残念なオツムだったんだな」
「舞の海発言の情けなさったらないな」

などと批判的な意見が相次いでいた。

   だが記事公開から間もなくすると、「排外発言どころかモンゴル勢をたたえている」などと疑問の声も出るようになった。日仏共同テレビ局のYouTubeアカウントが舞の海氏の動画をアップしていたためだ。これを見た人たちからは「むしろ正反対のことを言っている」といった指摘があり、28日には、冷泉彰彦氏もニューズウィーク日本版サイトの連載コラムで「『排外発言』とは正反対だった『舞の海氏の講演』」と題した記事を公開。週刊金曜日の記事を引用して書いていた以前のエントリを訂正、謝罪した。

「がんばれ!」の声には「これは難しい」

   では舞の海氏は、実際にはどのようなことを語っていたのか。序盤では大相撲の起源から日本に渡ってきてからの長い歴史を紐解き、持ち前の豊富な知識で、各時代の天皇との関わりも交えつつ丁寧に解説していた。

   現在の大相撲に話が及ぶと、

「最近よく聞かれるのだが、『外国人が強すぎて相撲を見なくなった』という人がとても多い。(NHKの)解説では言わないが、現役の頃はハワイ勢の『黒船来航』と言われ、ハワイ勢が引退した後は『蒙古襲来』」

と話して笑いを誘う一幕もあった。

   だがその直後には「日本の相撲を変えるか、モンゴル勢に制圧されるかという見方もできるが、見方を変えれば、今大相撲を支えているのは実はモンゴル人。モンゴル人がいるからこそ、私たちは横綱の土俵入りが見れる」と続けた。

   さらに「日本の大相撲界でお金を稼ぎ、家族の面倒をみる」というモンゴル人力士たちの決意を指摘。一方で、日本の力士については「3年、5年やってダメだったら田舎に帰って仕事を探せばいいかなという人もたくさんいる」として、意識の違いを紹介した。

   週刊金曜日のいうように「外国人力士を排除したらどうかと言う人もいる」という発言もあったが、客席から「がんばれ!」との声が飛ぶと「これは難しい」とした上で、「ハワイから高見山さんを連れてきた(スカウトした)時点からもう後戻りはできない。もし今そうしようと思ったらモンゴルとの外交問題になり、レアアースを輸出してもらえなくなるかもしれない」と冗談を交えた。

   「世の中グローバル化というが、相撲界は一昔、二昔前にはグローバル化されている。20年後30年後は幕内の全取組が外国人同士ということになるかもしれない」とも語ったが、こちらでも笑い声が起こり、「排外主義的空気が顕著」というより、舞の海氏の「漫談」を楽しんでいるという様子が伺えた。

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