2024年 4月 20日 (土)

「食べログ 話題のお店」ステッカーを「余計なお世話」とゴミ箱へ  店主の思い切った行動がネットで喝采

   街の飲食店で「食べログ 話題のお店」と書かれたステッカーを見かけたことがある人も少なくないのではないだろうか。口コミグルメサイト「食べログ」が選出した店舗に随時送付しているものだ。

   だが、送られた側がみな喜んで貼るかというと必ずしもそうとは限らない。2014年7月1日にはステッカーが届いたという東京都三鷹市のコーヒー店が「余計なお世話です」としてゴミ箱に葬った画像をツイッターで公開。インターネット上で大きな反響を呼んでいる。

「店主GJ」「惚れた」と称賛の声

ツイッターでステッカーを捨てたことを報告
ツイッターでステッカーを捨てたことを報告

   注目を集めているのはスペシャルティコーヒーのテイクアウトスタンド「ブルースカイコーヒー三鷹の森店」だ。井の頭恩賜公園の中にあり、緑豊かな森に囲まれた公園のオアシスとして多くの人に親しまれている。

   そんな同店のもとに「食べログ」の運営チームから例のステッカーが届き、店主が1日にツイッターで報告した。ツイートでは2枚のステッカーと「『食べログ 話題のお店』選出のお知らせ」と書かれた文書が写った画像も公開している。

   文書によると「話題のお店」は多くの口コミが投稿されている店を選出するもので、該当するのは全掲載店約77万店のうち9%(約6万9000店舗)という。文書では「わずか9%のみ」「ごく限られたお店にだけ送付させていただいている」などと希少性を強調しているほか、結びには「『食べログ 話題のお店』への選出、誠におめでとうございます」というお祝いの言葉もある。

   だが、店主は食べログから「話題のお店」と認定されることに価値を見出さず、次のツイートで「捨てました。余計なお世話です」として、ステッカーをゴミ箱に入れた画像を公開した。

   思い切った行動はインターネット上ですぐに話題になった。「わざわざ公開しないで黙って捨てればいいのに」という声もあるが、「店主GJ」「惚れた」「男前」「ロックですね」「ブルースカイコーヒー△(編注:ブルースカイコーヒーさん格好いいの意)」などと称賛の声が相次いだ。

   食べログは店側が申請していなくても、ユーザーが店舗ページを作ることができる。同店の情報もユーザーが登録したようで、店主はその後「ここのサイトは勝手にシステムに飲食店を捩じ込んで『表現の自由』を盾に不参加を拒否するので、抗議の意味でのせました。全ての飲食店が載せられたくて載っているわけではありません」とツイッターで説明した。

5年前から削除申請するも取り合ってもらえず…

   3日に記者がお店を訪れると、店主の宮地泰隆さんはツイートに至った背景を説明してくれた。

「もともと匿名ユーザーが評価する商業目的の不透明なサービスには参加したくないんです。食べログには店の情報が掲載された5年ほど前から削除申請をしているんですよ。かれこれ10回以上はやりとりをしていますが、あちらからの連絡といえば『有料会員』のお誘い。それで先日、封筒で返事が来たかと思えば『話題のお店』選出です。ふざけるなー!ってことでゴミ箱写真を…」

と苦笑する。

   同店の食べログページは現在もあり、3.48という高評価がついている。これについて「看板を出してやっているわけですし、店名や住所が載るのは仕方ない。好意的なコメントが付けば単純にありがたいとも思います」としながらも、「それでも、匿名の人から採点されるシステムには参加したくありません。中には『本当に店に来たの?』と思うような誤認情報を書いたレビューもあり、評価システムに強制参加させられる限り、それが野放しにされる事になる」と運営側の対応を問題視する。

   その上で今回のステッカーについては「真面目に仕事して評価して頂いたと思う店もあると思います。でも、揉めている相手にこれ貼れよと送りつけるものじゃないです。そんなサイトにお客さんから預かったお金を支払うなら、もっと店やお客さんのためになるよう有意義に使いますね」と話した。

   同店に限らず、食べログに掲載されることを快く思っていない店は少なくないようだ。2010年9月には佐賀市内の飲食店が、店の最新情報が掲載されていないことから情報削除を求めて佐賀地裁に訴えを起こした。2014年2月には「秘密の隠れ家」をコンセプトとしていた大阪市内のバーが情報削除を求め、運営のカカクコム側が「表現の自由」を理由に拒まれたことから訴訟に発展した。

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