2024年 4月 19日 (金)

デモに参加すると「就活が不利になる」 SNSや掲示板で拡散する話は本当なのか

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   デモに参加したら就活が不利になる――1か月ほど前からネット上でまことしやかにささやかれている噂だ。数日前、福岡県のある市議会議員がブログ記事で噂を取り上げ、デモ参加者の多くが就活で「不本意な結果」に終わると指摘したことから、SNSや掲示板で一気に拡散された。

   市議のブログ記事をめぐり賛否両論の意見が出る中、専門家は「まずありえない」と噂を否定する。

  • デモ参加者は「不本意な結果」に…?(写真は2015年7月撮影)
    デモ参加者は「不本意な結果」に…?(写真は2015年7月撮影)
  • デモ参加者は「不本意な結果」に…?(写真は2015年7月撮影)

デモの参加者は「腐った蜜柑」

   安全保障関連法案への反対を表明する大学生グループ「SEALDs(シールズ 自由と民主主義のための学生緊急行動)」が国会前で大規模なデモを実施し、注目を集めている。ネット上では「SEALDs」の活動がマスコミに報じられ始めた2015年6月末頃から、「反体制活動は進路に影響する」という噂が流れていたようだ。

   この噂を補強したのが福岡県行橋市の小坪慎也市議だ。小坪市議は15年7月26日に投稿した「#SEALDsの皆さんへ 就職できなくて#ふるえる」と題するブログ記事で、デモの参加者を「腐った蜜柑」と表現、多くが就職活動で「不本意な結果」に終わると指摘した。また、デモの参加者が大学のブランド価値を毀損するという持論を展開し、「同じ箱に入った、腐ってない蜜柑も一緒に廃棄されます」としている。

   記事はツイッターなどで勢いよく拡散、

「正論ですね」
「ほんとこれ」

と賛同を示す意見や、

「思想信条差別発言。絶対に許されない」
「組織への同質性を強制するクソのような意見」

といった反論が寄せられた。

   ただ、どちらかと言えば反論の方が多いようだ。評論家の古谷経衡さんも29日、「私が面接者だったら、この小坪という議員の書いているブログを真に受けている大学生を真っ先に落とす。それぐらいヒドイ」と痛烈に批判している。

「参加したことがあるか」という質問自体がアウト

   果たして噂通り、デモに参加すると就職活動は不利になるのか。就活に詳しい大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは、「まずありえない」と見る。

   そもそもこの噂は、企業側が面接等で学生にデモの参加経験の有無を聞くことを前提としているが、石渡さんによると「そういった質問自体がアウトで、質問した事実が発覚すれば『差別企業』と見なされかねません」という。

   デモに参加する学生が大学全体のブランド価値を下げる、という小坪市議の持論についても「それはありません。企業側はその大学にデモへ参加する学生がいてもいなくても、まず気にしないと思います」とあっさり否定した。

   また、デモ「主催者」に対する企業側の認識を聞いてみると、「過激な政治的思想を持つ人は一部の企業に敬遠されるかもしれませんが、就活で極端に不利になる、ということはないでしょう」と語った。

   実際、厚生労働省の公式サイトでも思想や支持政党は「適性と能力に関係がない事項」と定められており、応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握したりすると「就職差別」につながりかねない、と警告している。

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