2024年 4月 20日 (土)

「歴史を書き換え、異論をつぶそうとしている」 NYタイムズ紙が異例の朴大統領批判

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   欧米や近隣諸国が安倍晋三首相を「歴史修正主義者」などと非難することは珍しくないが、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領にも、米ニューヨーク・タイムズ紙が同様の批判を向けている。

   社説で、歴史教科書の国定化などを念頭に「歴史を書き換え異論をつぶそうとしている」などと非難。こういった動きが「国外での韓国の評判に対する最大のリスク」とまで警告している。

  • ニューヨーク・タイムズ紙は社説で朴槿恵(パク・クネ)大統領を批判した
    ニューヨーク・タイムズ紙は社説で朴槿恵(パク・クネ)大統領を批判した
  • ニューヨーク・タイムズ紙は社説で朴槿恵(パク・クネ)大統領を批判した

強硬姿勢の背景には「父親のイメージを回復させる」狙い

   社説は11月19日付で、「韓国で異論が標的に」と題して掲載された。

   冒頭、韓国が独裁国から活力ある民主主義国に移行したことを称賛し、

「だから、朴槿恵大統領が、韓国と北朝鮮の傀儡(かいらい)政権とを全く違うものにしてきた民主主義的自由を後退させることに熱心に見えるのは憂慮すべきことだ」

などと警告した。具体例として、

「週末には、2つの抑圧的な政府による動きに抗議しようと、数万人が街頭に繰り出した」

と紹介した。この「2つの動き」とは、北朝鮮に融和的だとされる歴史教科書を国定化する動きと、財閥系企業が労働者を解雇しやすくするための労働法改正の動きのことを指す。

   社説では、「朴氏は、ソーシャルメディアやネット上の批判や異論もコントロールしようとしている」とも指摘。これは、韓国で人気のメッセージアプリ「カカオトーク」運営会社の共同代表だった李碩祐(イ・ソクウ)氏が、わいせつ画像の流通に対して適切な対応を怠ったとして検察が在宅起訴したこと指している。韓国メディアによると、李氏は起訴を受けて共同代表を辞任し、運営会社も退社している。

   社説では、起訴には政府批判への報復の側面があるとみている。

「本当の(検察の)目的は、政府の監視に抵抗したり、政府に批判的な利用者の声を制限することを拒否したことに対する処罰だ、という指摘もある」

としている。

   社説では、この強硬姿勢の背景には、父親の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領への思いがあるとみている。朴大統領が「父親のイメージを回復させようとしている」ことが「生徒に、粉飾したバージョンの歴史を学ばせる」ことの動機になっているようだ、というのだ。

慰安婦問題の著者を在宅起訴するなど「言論弾圧」

   韓国経済が中東呼吸器症候群(MERS)や中国の景気後退の影響を受けたことを指摘しながら、一連の動きが韓国の国際的な立場を決定的に悪くする可能性があるとみている。

「しかし、国外での韓国の評判に対する最大のリスクは経済的なものではなく政治的なもので、主に歴史を書き換え異論をつぶそうとする朴氏の高圧的な試みだ」

   社説で指摘されている事例以外にも、朴氏の意向を踏まえたとみられる検察の強硬姿勢が目立つ。

   例えばソウル東部地方検察庁は11月18日、旧日本軍の慰安婦問題についての著書「帝国の慰安婦」が元従軍慰安婦の女性の名誉を傷つけたとして、著者の朴裕河(パク・ユハ)・世宗大教授を名誉棄損の罪で在宅起訴した。

   産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対する公判も継続している。10月19日の公判では、検察側が加藤氏に対して「被害者は強い処罰を求めている」と質問する一幕もあった。問題となっている記事は旅客船「セウォル号」事故当日の朴氏の動静に関するもので、当然、ここで言う「被害者」とは朴氏のことを指している。

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