兵庫県西宮市にある、指定暴力団山口組の元幹部宅に「空き巣」が侵入し、現金約3億円と貴金属等が盗まれる事件が起こった。元幹部は「ブログの組長」といったあだ名で知られるほど、ネットでの情報発信に積極的。今回の事件に関しても、自身のフェイスブックアカウントで詳しい経緯を報告している。警察への被害届の直後から投稿開始五代目山口組で若頭補佐、六代目山口組で舎弟と幹部職を歴任し、数年前まで大阪市西淀川区に自分の組を持っていた男性（80）の自宅に、空き巣は入った。兵庫県警によると、被害届は2015年12月7日午後に受理。自宅の窓は割られ、部屋は荒らされ、室内の金庫も壊されていた。盗まれたのは現金約3億円と貴金属等で、これから被害総額が増える可能性もあるという。犯人は未だ逃走を続けており、県警は窃盗事件として調べている。一方で、この元組長は、被害届提出直後の8日未明、事件の経緯をフェイスブックで詳しく報告している。「留守中に賊に入られ金庫破られる。被害総額10億超！」と投稿。8日夕刻には「ドアというドアは全部、こじ開けられたり蹴り破られたりで塗装が剥げたりで修理するのが中中大変みたいです」と荒らされた室内の様子を伝えている。同時に「夜中の作業だったらしく廊下などの電燈を3個うち2個を殺すなど中々の手際だと」（原文ママ）と挑発的な言動も見られた。9日は朝から近隣住民と一緒にゴミ出しや片づけなどの「応急処置」に追われていたようで、「お蔭さまで足の踏み場もなかった居間に少しの空間が出来ました」と報告。その後、「サテ、どこかで息をひそめて、こちらの動静を見つめているであろう事件を仕組んだ盗ッ人君たち！気分はいかがかな・・・。まあしばし余韻を味合っていてくだされ」（原文ママ）と犯人に呼びかける余裕を見せつけた。かつては掲示板投稿で逮捕されたことも元組長は2001年頃からブログを立ち上げる（現在は削除）など、山口組きっての「ネット通」として知られ、一部で「ブログの組長」とも呼ばれていた。ある政治団体の名義で自分の組の公式サイトを作り（現在ほとんど閲覧できない状態）、サイト内掲示板で、組員と連絡を取ったり、自ら書き込んだりした。そんなネットの積極利用が仇になったこともある。12年11月、自身の組事務所周辺にたむろする暴走族や不良集団について、「半グレごときが大きな顔をして歩く世の中。わが城下町だけでも断固許すまじ、治安を乱す輩は断固たたかなければ」（原文ママ）とハンドルネームを使って掲示板に書き込んだ。これが組員への暴力行為教唆と警察当局に認識され、13年6月、暴力行為法違反（教唆）容疑で大阪府警に逮捕された。2年前に山口組を引退したが、現在もほぼ毎日フェイスブックを更新し、寄せられたコメントに1つ1つ「いいね！」を返したり、話題の動画を「シエア」「御シエア」という独特の言い回しでシェアしたりするなど、「ネット通」ぶりは健在だ。
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