「読売でさえ」楽観的と断じた 「財政健全化」の甘い試算

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   内閣府が中長期の財政試算を改定し、議論を呼んでいる。財政健全化の指標である国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)が、黒字化を目指す2020年度にも5.5兆円程度の赤字としたものだが、前回(2016年1月)見通しの6.5兆円程度からは縮小するというのだ。

   だが、まだ実現の見通しも立っていない政府の歳出抑制努力を織り込んでいるほか、バブル経済期並みに生産性が高まるなど高成長を前提にしており、黒字化は全く見通せない状況というのが大方の見方だ。

  • 安倍首相の見立ては楽観的か?(16年8月3日撮影)
    安倍首相の見立ては楽観的か?(16年8月3日撮影)

前回試算より赤字額が1兆円縮小

   試算は毎年1月と7月の2回まとめることになっており、今回は16年7月26日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)に提出された。

   PBは、国と地方の政策経費を借金に頼らずにどれだけ賄えているかを示す指標。今回の試算では、前回試算より2020年度の歳入は赤字が0.3兆円拡大するとした。2017年4月に予定した消費税率10%への引き上げを2019年10月に延期したため、企業の決算と国の会計年度のズレにより2020年度の歳入が下振れする。

   それなのに2020年度の赤字額が前回試算より1兆円縮小する事にするためには、歳出が1.3兆円減らなければならない。つまり、政府が歳出を抑制するということになる。この「カラクリ」は、前回まで物価上昇率並みに増えると想定した2017年度の歳出を「賃金と物価の上昇率の半分の伸びにとどまる」と置き換えたことが一つ。さらに、高齢化で放っておけば1兆円規模で増加する社会保障の支出を抑えることも前提にしている。「2017年度予算での歳出抑制を織り込んだ」(内閣府)といえば聞こえはいいが、現時点で、具体的な歳出削減策の裏付けがあるわけではない。

   歳出抑制という「出」の一方、「入」である税収の前提となる経済成長は目いっぱいどころか、不可能に近い数字を置いている。具体的には、今後の経済成長率が実質2%以上、名目3%以上になる「経済再生ケース」を想定しているのだ。現実に目を向ければ安倍内閣成立後の2013~2015年の実質成長率の平均は0.6%にとどまっている。経済の実力を示す足元の潜在成長率を前提にした「ベースラインケース」(実質1%弱、名目1%半ば程度)での試算では、税収が大きく落ち込み、2020年度の赤字は9.2兆円に膨らむ。歳出改革を別にすれば、こちらの方がまだ現実に近い。

「市場が、こんな楽観的なシナリオはありえないと見ている証拠」

   あまり話題になってはいないが、専門家の一部は長期金利にも注目している。これは内閣府の報告書の文章には詳しく触れられていないが、それぞれのケースの2024年までの「マクロ経済の姿」をまとめた一覧表にある「名目長期金利」の項目だ。景気が良くなって成長率が高くなれば、長期金利が上がっていくのは経済の常識で、経済再生を前提にした長期金利は2016年の0.3%から徐々に上がり、2020年に3.4%、2024年には4.4%に達するとしている(「ベースラインケース」では2020年1.5%、2024年1.9%)。金利が上昇すれば国債価格は下落する。今のところ国債市場では大きな反応が出ていないのは、「市場が、こんな楽観的なシナリオはありえないと見ている証拠」(市場関係者)という皮肉な状況だ。

   政府はこの後、8月3日の閣議で事業規模28.1兆円の新たな経済対策を決定した。2016年度補正予算と2017年度当初予算にまたがる中味だが、国・地方の実質的な財政負担(いわゆる「真水」)は7.5兆円(うち国6.2兆円)に達し、国は4兆円を2016年度補正予算案の一般会計に計上する。この財源のうちの3兆弱円を建設国債発行で賄うとしていて、また赤字が膨らむことになる。

   経済からは、諮問会議民間委員でもある経団連の榊原定征・経団連会長が「(経済対策は)デフレ脱却の正念場。大規模な投入を求めたい」と語るのは当然として、経済同友会の小林喜光代表幹事は諮問会議当日の記者会見で、財政試算の目標に「パン食い競走でも背伸びして口に届くぐらいの目標がいいが、ちょいと高すぎるのでは」と苦言を呈したように、数値に無理を感じる向きが多い。

   報道も、諮問会議翌日の7月27日に各紙が一斉に掲載した記事で、「税制健全化 見えぬ道筋」(「日経」)、「財政健全化 達成見えず」(「朝日」)など似たような見出しが並び、安倍内閣支持の論調が目立つ「読売」でさえ、「歳出抑制 薄い根拠」「成長率予測『楽観的』」と、他紙以上に厳しい解説記事を展開した。

   安倍首相は諮問会議でも2020年度PB黒字目標について「堅持する」と改めて明言した。そのために、達成に向けた工程表の練り直しなど、戦略の立て直しが不可欠だろう。

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