2024年 4月 27日 (土)

東芝、今度は「半導体」の分社化検討 残る事業は...えっ!コレだけ?

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   経営再建中の東芝が、主力のフラッシュメモリーを含む半導体事業を分社化して他社からの出資の受け入れを検討している。

   東芝にとって半導体事業は「稼ぎ頭」で、原子力発電などのエネルギー事業とともに、白物家電事業や医療事業の売却後のコア事業としてグループを支えるはずだった。経営再建に、なりふり構わず「売れるものは売る」かのようにもみえる。

  • 東芝、とうとう「虎の子」の半導体事業も分社化へ・・・(画像は、「東芝のYouTube公式チャンネル」から)
    東芝、とうとう「虎の子」の半導体事業も分社化へ・・・(画像は、「東芝のYouTube公式チャンネル」から)
  • 東芝、とうとう「虎の子」の半導体事業も分社化へ・・・(画像は、「東芝のYouTube公式チャンネル」から)

狙いは財務への懸念払しょくと半導体事業への投資余力の確保

   東芝が半導体事業の分社化を検討している背景には、米国の原子力発電事業での巨額損失の発生がある。同社は2016年12月27日、米国の原子力発電事業で17年3月期に数十億ドル(数千億円)の減損損失が発生する可能性があると発表。17年1~3月期決算で減損処理を行う可能性があるとした。

   東芝は主力の半導体事業が好調で業績も上向いていたが、それに水を差すことになる。それどころか、損失の規模によっては自己資本に影響が及びかねない。経営再建に、再び黄色信号が灯る可能性も出てくる。

   そのため、収益を支える屋台骨の一つである半導体事業を分社化し、そこに他の企業からの出資を受け入れ、財務基盤を強化する検討に入った。

   分社化によって株式を売却すれば手元資金のほか、年間で数千億円に及ぶ、主力のNAND型フラッシュメモリー事業への設備投資や研究開発に充てる資金も融通しやすくなる。つまり、脆弱化した財務基盤への懸念を払しょくし、成長の見込める半導体事業への投資余力を確保する狙いがあるわけだ。

   東芝は、「NAND型フラッシュメモリー(スマートフォンなどの記憶媒体として使われる半導体)は、IOT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など大きな需要が見込める半面、開発競争がし烈で、大規模な投資が必要な分野で、継続的な資金供給が必要になります。円滑な資金調達のため、また(原発事業での損失で)自己資本の薄さが懸念されていることから、(資金確保に)スピードアップが求められています」と説明する。

   東芝の半導体事業、なかでも主力のNAND型フラッシュメモリーは、韓国のサムスン電子に次いで世界第2位。NAND型フラッシュメモリーは、スマートフォン向けだけでなく、いまや世界中で増強投資の進むデータセンターのサーバー向けの需要が急増するなど、絶好調だ。

   東芝によると、半導体事業(HDDを含む)の2016年3月期の売上高は1兆5759億円。このうちメモリー事業が半分以上を占めている。同社は、「半導体事業には、まだまだ伸長を期待していますし、当社のコア事業であることにかわりはありません」と話す。

半導体事業が抜けても、「まだ5兆円の売り上げがあります」

   一方、東芝が出資を要請している「お相手」と目される米Western Digitalは、ハードディスク駆動装置(HDD)の世界最大手。東芝とはNAND型フラッシュメモリーで提携しており、東芝の主力拠点である三重県・四日市工場は、東芝とWestern Digitalが15年にわたり共同運営している。この四日市工場を、分社化する。

   東芝の「事業の切り売り」は、2015年の不適切会計の発覚がきっかけ。インフラ事業や映像事業、パソコン事業、半導体事業での利益の水増しや損失の先送り、さらには2006年に買収した米ウエスチングハウスの巨額損失を隠ぺいするため、減損処理の方法を変更するなどの不正操作によって、2008年4月から14年12月までの6年9か月間にわたり利益を過大に計上した。

   東芝は経営再建のため、2015年10月28日に画像(CMOSイメージ)センサー事業と白色LED事業からの撤退を発表。画像センサーの生産拠点、大分工場(大分市)の生産ラインをソニーに200億円で売却したほか、16年3月には東芝の医療機器事業が母体の主要子会社、東芝メディカルシステムズをキヤノンへ6655億円で、また白物家電の東芝ライフスタイルを中国の美的集団に537億円で売却。売り上げの一翼を担ってきはずの事業が、次から次へと売却された。そして、とうとう「虎の子」で、成長著しい半導体事業に手をつける。

   半導体事業の分社化によって、東芝は約1兆円の売り上げが、「一時的」とはいえ、剥がれることになる。ますます縮小均衡に陥っていくようにみえるが、原子力発電をはじめとしたエネルギー事業と公共インフラ事業のほか、売り上げの落ち込みをカバーできる事業があるのだろうか――。

   2017年1月18日のJ‐CASTニュースの取材に、東芝は「(半導体事業が抜けても)売り上げでまだ5兆円あります。(原発事業や公共インフラ事業以外にも)目立たないですが、さまざまな事業や規模はあります」と話した。

   1月19日の東芝の株価は一時、前日比76円40銭安の212円まで値下がり、終値は242円30銭で引けた。475円の年初来高値を付けた2016年12月15日から、わずか20営業日余で232円70銭と、ほぼ半減している。

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